役の思想について考える

どうも、RinDaです。

 

今回は「「文字を読まない」ためのキーワード 」から

「思想」について解説していこうと思います。

 

私の記事をご覧になっている皆さんのほとんどは「声優」を志している方だと思います。

大げさな解釈かもしれませんが、声優になることが「生きる理由」であると言っても差し支えない方も多いでしょう。

 

人にはだれしも「生きる理由」を持っている。

だから生きているはずです。

 

もちろん、それをうまく言葉にできない人や、ハッキリとは考えられてはいない人もいるかもしれません。

 

ですがそれでも、あなたが生きているなら、そこに理由がある。

 

それは作品の中に生きているキャラクター達にも存在しています。

それがない存在が易々と生きていけるほど現実も創作も甘くはありません。

 

役者が役の「生きる理由」を理解して演じること

 

それもまた「文字を読まない」ために重要なことです。

 

そのために役が作品の中で経験した出来事、そのたびに作り上げた「思想」を理解していきましょう。

 

目次

 

 

幸福になるために生きている

不幸になるために生きている人間はいません。

たとえ傍から見て不幸な目にばかりあっている人も、実はその生活の中や先に幸福を見出していると思います。

 

幸福の形は人それぞれで正しい形は存在していません。

人を喜ばせること

人の上に立つこと

世の中が自分の思い通りになること

世の中の一部にになること

何もせずに過ごすこと

この世の全てを知るとこと

 もしその形が決まりきっていたら、それを奪い合う戦争が巻き起こり、それを手にできないと悟ったものから命を絶つことになるでしょう。

幸福の形が決まっている世界は、悲惨な世界です。

これはちゃんと理解しておいてください。

 

そんな中で万人に共通していることがあります。

それはその幸福を手に入れるための方法論を皆持っているということです。

お金を稼ぐこと

人助けをすること

勉強をすること

信頼できる友人を持つこと

愛する人を幸せにすること

こういった個々人の価値観や倫理観、宗教観などを総称して「思想」と私は呼んでいます。

キリスト教も仏教もカルト教団も、王権主義も民主主義も資本主義も、法律も犯罪も

人間が幸せになる方法であるならば、それは等しく「思想」と呼んでいいと考えています。

私たちは皆、意識的にか無意識的にか自分なりの思想をもって生きています。

 

思想で整合性を取る

思想をハッキリ持っている人間の特徴は「行動に整合性が出る」ということです。

 

それは「一貫性」と言ってもいいかもしれません。

(「勝ち馬に乗る」という思想を持っている人間などには当てはまりませんが)

「オラもっともっと強くなりてぇ!」という思想の持ち主は、武術の修行で日々自らを鍛え、強敵の出現に思わずワクワクします。

 

「この海で一番自由な奴が海賊王だ!」という思想の持ち主は、誰にも縛られず、誰も縛らず、自分が正しいと思ったことをやり続けます。

 

「妹を必ず鬼から人間に戻す!」という思想の持ち主は、たとえどんな手段でも、どんな強敵が待ち受けていようとも妹のために全力を投げ打つでしょう。

 極端な例を持ち出しましたが、「思想」は「キャラクター性(個性)」に直結しやすいので、作品のメインキャラクターはかなりハッキリとした「思想」を持っていることが多いです。

なんなら、食事、睡眠など生命生活すべてが思想に帰結しているなんてこともありえます。

つまり、思想は全て行動に、言葉に現れてきます

 

もし役の思想を完璧に把握したのであれば、セリフに乗せられる感情の種類、強さ、重さというあらゆるニュアンスを把握できると言ってもいいでしょう。

 

無論、役者は決して役本人ではないので、思想を完璧に把握することは不可能ですが、ある程度推測することは可能です

 

何に気を遣っているのか

基本的な作業は、セリフと設定の整合性を取ることです。

 

設定を読めば大まかな「思想」がわかる場合があります。

 

その場合は、台本のセリフ一つ一つに対して「思想」に適した解釈を選んでいけば大丈夫です。

ですが、中にはそれでも判別がつかないセリフ解釈や、そもそも設定がない・設定に思想に関する記載がない場合は難しいと思います。

 

そこで持っておくべき基準は「役は何に気を遣っているか?」です

 

思想をシチュエーションに当てはめると「目的」が生まれます。

その「目的」には必ず目的達成の条件・基準があるはずであり、役はその対象に常に気を向けているはずです。

今の生活に不満を感じている少年は「刺激のある出来事」に

貴族に使える執事は「一族の恥をさらしてしまう出来事」に

時空犯罪に対処する未来人は「タイムパラドックスの可能性」に

鍛え抜かれた格闘家は「相手が見せる一瞬のスキ」に

 それを複数のセリフの中から探し出してください。

それはきっとそのシーンのどのセリフにも共通しているはずです。

 

また、感覚的思考の持ち主で映像化が得意な方は、その映像から「目の的」、つまり「目線が向いている場所」を見つけるといいでしょう。

「目は口程に物を言う」とも言います。

目の向いているところが役の思想を代弁している可能性もあるはずです。

 

まとめ

  • 「思想」は幸福になるための方法論
  • 思想があれば行動に「整合性」が生まれる
  • 整合性は、セリフに現れる
  • セリフから「気を遣っていること」を探す

 

「思想」は前回の「記憶」より複雑で奥の深い考え方ですが、人間を人間たらしめているものが「思想」とも言えるので、考えないことは許されません。

 

まあ、「思想」が複雑でなければ、すれ違いやケンカが起こるわけもなく、友情や愛情も生まれたりすることもありません。

 

人間の生態を勉強するつもりで、考え方を増やしていきましょう。

 

「役を表現するために必要なものは何かか」

 

それに気を向けるのが役者であり、

 

「役を理解し表現すること」が役者の思想だと私は思います。

 

ではまた。

 

RinDa