#RinDaの台本1212 総括

どうも、RinDaです。

 

普段はTwitterで、声優志望者の方に向けて、演技上達に役立つ情報を毎日発信しています。

 

この記事は、私がTwitterにて企画した「#RinDaの台本1212」の総括として、参加者によく見られた傾向と解説をしていきます。

 

今回も「#演技コメントシート」というものを使ってコメントを返させていただきました。

 詳しくは「演技を評価する5つの基準 」をご覧ください。

 

 

目次

 

 

男性台本

今回気なった点は

「相手との距離感」についてです。

 

セリフが感情を乗せやすかったせいか、感情表現に意識が偏ってしまっている方が多く見られた気がします。

普段の生活で、自分の感情をそのまま出しているだけじゃ上手くいかないことって多くないですか?

どんなに怒りたくても、泣きたくても、「その時の状況」を気にして生活していませんか? 

そこに意識が向いている状態が、聞き手に「自然さ」を作り出すのだと思います。

 

今回はメインの話相手の「トナさん」と、話題の中心である「親父」に対して距離感を考えなくてはいけません。

 

「親父」に関しては、理由はわかりませんが、何かしらの反感を感じており、何かの拍子に口論になった様子がセリフから伺えます。
ですがその一方で、「親父の与え続けてきた夢」に対しての理解を示している様子がわかります。
「親父の与え続けてきた夢」は「サンタの仕事」と解釈するのが自然だと思います。

以上のことから、距離感的には「その場にいない」ということを考慮した上で、「ケンカ状態は解消していないけど一時休戦を申し出る」といったところですね。

具体例としては「敵意は見せすぎずに彼なりの優しさを表現し、場合によっては語尾を少しだけウィスパーにする」って感じでしょうか

 

次に「トナさん」に関してです(人型であると仮定します)

まずは、物理的にトナさんが座っているのか、立っているのかを考えておくと、聞き手に映像を想像させやすくなります。

 「勘違いしないでくれ」と言っている点から、トナさんは親父さんと意見を同じくしている可能性が高いですね。

ただ、親子喧嘩に対する気持ちを打ち明けられている点から、親父さんよりは彼に理解を示している存在であると考えられます。

以上のことから、距離感としては「よく遊びに来る親戚のおじさん」くらいがいいと思います。

具体例としては、「語気は多少強めけど動きは緩やかに」と言った感じでしょう。

 

距離感は非常にシビアで正解なんてないんだと思いますが、皆さんなりの距離感の測り方・表現の仕方の助けになれば幸いです。

 

 

 女性台本

こちらの台本では「声を変える演技」が気になりました。

声優の演技で「声を変える」というのは前提のように思われがちです。
ですが、実際のところ、「声が変わるのは演技をした結果の1つ」でしかありません。

肯定的に考えたとしても、「演技に説得力を出すためのエッセンス」程度です。

声を変えること前提の演技は、

証明のない数学の証明問題
調味料しか使わない料理
ソフトの入っていないゲームのパッケージです。

もちろん、姿形が人間とはかけ離れたキャラクターなのであれば話は少し変わってきますが、今回は例に漏れず人間の役です。

 

とはいえ、高い声で演じたくなる気持ちはすごくわかります。

もし、高い声で演じたいのであれば、高い声で演じる説得力を演技で見せられる技術力と、それで自然であるように聞かせる発声や滑舌などの基礎が必要となります。

そこをちゃんと抑えておけば、違和感なく自然に演技を聞かせられるようになると思います。

 

今回の場合は、「おちょこちょい」がテーマなので演じ方は3通りと考えています。

①自信過剰なうぬぼれ屋タイプ
②ちょろちょろ落ち着きのないタイプ
③ボーっとした感じの天然ボケタイプ

普通に10代半ばから後半の声を出せる方なら①
少年声や大人っぽい声になってしまう方なら②
アニメ声や色っぽい声になってしまう方なら③がオススメになります。

①を演じるなら、「余裕の増減」を意識して感情のジェットコースターを表現しましょう。

②を演じるなら、なるべく小柄なキャラクターを意識して「動き」を大きく、速く、広く見せることを意識してみて下さい。

③を演じるなら、全体的に余裕のあるお姉さまをイメージして、表情を意識してみるといいのかなって思います。

 

自分のイメージ通りに声を変えてみることも大切ですが、「私が演じるなら~」という考え方でイメージを作り替えていくことも大切なので、覚えておきましょう。

 まとめ

・関係性や状況から距離感を測ろう!

・自分の声に合ったプランを練ろう!

 

今回も多くのご参加ありがとうございました。

初めての方も、常連の方も、今後とも「#RinDaの台本」というプラットフォームの活性化に一役買って頂ければと思います。

 

また、台本のテーマリクエストを募集しようと思います。

リスエストのある方は是非ブログのコメント欄までお願いします。

 

他にも

・記事に関するご感想・ご質問

・記事にしてほしい事柄のリクエスト

・#演技コメントシート に関するご意見・ご感想

も募集しておりますので、ドシドシコメントして下さい。

 

特に#演技コメントシート は形式や活用法にまだまだ改良の余地があると思います。皆さんの忌憚のない意見をお待ちしております。

 

では、また次の#RinDaの台本で。

 

RinDa

礼儀正しいとは何か?

どうも、RinDaです。

普段、声優志望者の方に向けた演技向上に役立つ知識や技術について発信しています。

 

今回は「礼儀正しいとは何か」というテーマでやっていきます。

 

よく養成所や専門学校でこんなことを講師の方が言います。

「声優になるには、礼儀を覚えなくてはならない」

 

ですが皆さん

礼儀とは何か、ご存知ですか?
具体的に何をしたらいいのか、ご存知ですか?

 

意外とそんな詳しいところまでは教えてくれないのが、現状であったりするので、今回は「礼儀正しい」について考えていきたいと思います。

 

目次

 

礼儀とは何か?

礼儀というのは、「相手を気遣う適切な態度」のことです。

違う言い方をするなら「自分が自分勝手な人間ではないことを証明する態度」や「大人な対応」という感じです。

冷たいですが、社会に出て仕事をするにあたり、仕事相手を気遣えない人間は必要ありません。

礼儀がなくて許されるのは、よほどの実力があることが認められているか、そういうキャラクターが世間で認知されているか、です。

どちらも新人には縁遠い話ですよね。

だから、新人声優に礼儀は必ず必要とされています。

礼儀のない人間が現場にいると

・不快な気分になる人が増える
・パフォーマンスが下がる
・収録に時間がかかる
・無駄に拘束時間がかかる
・場所代や人件費がかさむ
・いい作品が出来ない

など、数え切れないデメリットがあります。

アナタがキャスティングの立場の人間だった場合、
いるだけで現場の空気が悪くなる人間を、果たして起用するでしょうか?

 

具体的に何をするのか?

では、具体的に「礼儀正しい」とは何をするのか?

 

マストで覚えておいた方がいいのは

①挨拶
②「報連相」 
③落ち着いた行動

くらいでしょうか。

 

①挨拶

挨拶は重要な第一印象です。

ここで人間としても役者としても品定めが行われます。

元気でも丁寧でも構いません。
「アナタがどんな芝居をするのか」を示すことを意識しましょう。

 

②「報連相」

これは有名だともいますが「報告・連絡・相談」の三つの行動を指しています。

「現場で」というよりは「マネージャーさんに対して」という意味合いが強いです。

 

これをする上で、前提として抑えておきたい考え方が「失敗は誰にでもある」ということです。

仕事の上で失敗をすることが問題なのではありません。
その失敗を誰にも言わずに、仕事に支障をもたらすことが一番の問題です。

「寝坊した」
「道に迷った」
「台本がない」
「体調が悪い」
「指示を聞き取れなかった」
「収録中にノイズを立ててしまった」……など

 後々発覚した時に、他の方に迷惑を掛けそうな事案が発生した時は必ず、現場や現場に通ずる人に連絡しましょう。

失敗を認めずに、大きな事故になってしまってからでは、印象は最悪ですよね?

 

③落ち着いた行動

もしかしたら、この項目を以外に思った方がいるかもしれませんが、何でもかんでも行動を起こすことが礼儀ではありません。

先ほど書いた通り、気遣いが出来ればそれに越したことはありません。
敬語だって使えた方がいいでしょう。

ただ、「何が正しいか」、「何がプラスに働くのか」がイマイチ分からない状況で起こす行動は、ハッキリ言って逆効果です。

ましてや「笑いを取る」など、自分が出来るのかどうかも分からない気遣いをするのは無駄です。

余計な行動を起こすよりは、挨拶だけはしっかりして、ジッと落ち着いている方がよっぽど礼儀正しいと思います。

分からないことがあれば質問をして、次からその通りに行動を取ればいいのです。

「現場ではしゃがない」を肝に銘じておきましょう。

 

礼儀の正体

覚えておいた方がいい礼儀を三つだけ紹介しましたが、世の中にはこの三つ以外にも行った方がいいとされる礼儀が存在します。

ですが、敬語なども含め、礼儀というのは、「状況と状態」というものが大きく関わってきます。

体調が悪い人に気を遣われるととても困りますし、口調を固くし過ぎても無駄に距離を感じさせてしまうこともあります。

 なので、礼儀を簡単に考えられる解釈を一つご紹介して、今回は終わろうと思います。

 

礼儀というものは「余裕のある人間が余裕を分け与える行為」です。

 

そもそも、余裕のない人間に礼儀を振舞うことは出来ないのです。

なので、礼儀を意識する際、第一に考えるべきは「自分に今、礼儀を振舞うだけの余裕があるだろうか?」ということです。

 

一見「余裕がないのであれば、礼儀を見せる必要がない」というように見えるかもしれませんが、それだけではありません。

この解釈には「現場で礼儀を見せるだけの余裕を持って仕事に臨みなさい」という意味も含まれています。

 

現場で活躍するためには、実力だけじゃなくて、余裕も必要であることをよく覚えておきましょう。

 

まとめ

・礼儀とは「気遣いが出来る」ということ

・①挨拶、②「報連相」、③落ち着いた行動 の三点だけは覚えておく

・礼儀があるとは「余裕がある」ということ

 声優志望者の方で多く見られるのは、「上手くなろう」と考えてセリフにたくさん挑戦される方で、「余裕を感じる」という方は少ない印象です。

もちろん、ガツガツしているのは悪くはありませんが、必ずしも上手ければ声優になれるわけではありません。

たまには力を抜いて「余裕をみせること」を考えてみてもいいのではないでしょうか?

 

ではまた。

RinDa

 

 

参考文献

「育ちがいい人」だけが知っていること

まんがでわかる Think CIVILITY 「礼儀正しさ」こそ最強の生存戦略である

演技における詳細と本質

どうも、RinDaです。

普段は、Twitter上で声優志望者の方に向けて演技向上に有益な情報を発信しております。

 

今回は「演技における詳細と本質」というテーマで記事を書いていこうと思います。

 

この記事は「読解力」についての解説になるので、

「読解力を向上させたい」
「解釈のバリエーションを増やしたい」
「プランニングをスムーズにしたい」
また「人を見る目を養いたい」

という方にオススメです。

 

目次

 

今回の参考文献

今回の参考文献は「メモの魔力 (前田裕二/幻冬舎)」です。

 

メモの魔力 -The Magic of Memos- (NewsPicks Book)

内容を要約すると、
『一つの情報(メモ)に対して「抽象化と具体化」を行い様々なアイディアが生まれる』という感じになります。

「抽象化」というのは、物事を状況や流れから切り離して考えること。
「具体化」というのは、物事に状況や流れを取り入れて考えること。

この記事では、「抽象化と具体化」を演技に取り入れた私の解釈をご紹介していきます。

 

詳細と本質

「演技における抽象化と具体化」は、それぞれ「詳細」と「本質」と言い換えられると思います。

 

例えば【キャラクター】について考えた時

 

役者はまず、「台本」や「資料」など、キャラクターに関する情報が記されたものでキャラクターを目にします。

台本や資料としては完成品ではありますが、演技においては「メモ」と言って差し支えないと思います。

 

次に、キャラクターを読解する段階で考えることはどんなことでしょう。

容姿の特徴
性格の特徴
他のキャラクターとの関係性

などがそれにあたると思いますが、こういったものはある程度、「かわいい」や「真面目」、「犬猿の仲」など抽象的な表現に言い換えることが出来ます。

これらは「キャラクターの本質」と言えると思います。

 

最後は、キャラクターを演じる段階で「具体化」を行います。

それが「芝居で表現する」ということ。
声優で言うなら「声で表現する」ということです。

それはただセリフを読むだけでも、ト書きに従うだけでもありません。

セリフとト書きに乗せて、「芝居ならではの情報」を伝える。

つまり、「キャラクターの詳細」を伝えるということになるのだと思います。

 

以上が私が「演技の抽象化と具体化」した結果です

 

まとめると

【情報】台本

 ↓(抽象化)

【本質】容姿や性格、関係性

 ↓(具体化)

【詳細】役者の芝居

 という感じになります。

 

「詳細と本質」を使った読解

では、実際に三つの例題を読解をして確認をしていきましょう。

例①「俺」

まずは単語で見てみましょう。

台本に書いてあった【情報】である「俺」の抽象化して【本質】にしていきます。

「俺」とは「男性の一人称」のことです。
「男性の一人称」は他に「ボク」や「私」などが挙げられます。
当然、英語の「 I (アイ)」も含まれます。

では「男性の一人称」を具体化して【詳細】にします。

「男性の一人称を言う」ということは「セリフを発している本人を指す」ということです。

仮に「俺」のセリフを与えられたのが「シンジ」という名前だとするなら、「シンジという意味を持つ俺という言葉を口にする芝居」がそれに当たります。

場合によっては、「指で自分を指す芝居」も該当する場合があります。

というのが一つ目の例です。

こうしてみると当たり前のことを難しく考えているだけに見えますね。

ただ、セリフの主が「女の子」だったら「ボーイッシュな女の子の一人称」という【本質】になりますし、「アメリカ人留学生」だったら「英語圏の人間が発する日本語の一人称」という【本質】になります。

「関西人」というだけでアクセントが変わる可能性がありますからね。

それは、少しの違いでかなり違うことです。

 

例②「明日は雨か……」

二つ目の例はちゃんとした「セリフ」です。

まずはセリフという【情報】を【本質】にします。

率直に考えれば「明日の天気を知った」ですね。

続いて【詳細】を考えます。

考えるのは、明日が雨である事実を知らなければならないので、「その方法が何かということ」です。

雨雲の様子を見てなら「空を見ている芝居」
天気予報を見ているなら「テレビを見ている芝居」などですね。

 

また、日本語的セオリーから言えば「憂鬱な気分」である可能性が高いので、「ため息交じりに言う」や「眉間にシワを寄せて言う」などでしょうか。

一つに絞るなら「ため息交じりに空を見て言う芝居」という感じになります。

以上が二つ目の例です。

この場合、かなり【詳細】にパターンが増えるのがわかりますね。

「雨を何で知ったのか」と「なぜネガティブな気分なのか」だけでも表現方法はかなりあると思います。

その上、①と同じようにセリフの主で解釈が違う場合もあります。
「レインコートを買ったばかりの少女」なのであれば、「お母さんから天気予報を聞いて舞い上がる芝居」に変わりますし、「強盗集団のリーダー」なら「携帯を見てニヤッと笑う芝居」に変わってしまいます。

考えれば無限に出てきますが、とりあえず異なる解釈を三つ探すようにしましょう。

 

例③「別にアンタのために作ったんじゃないんだからね」

三つめはツンデレの定番フレーズです。

まずは【本質】にしていきましょう。

先入観があるセリフですが、ニュートラルに考えると「自分の行動を相手に認知させる」という感じでしょうか。

もちろん、「言い訳する」という形にサッパリ解釈してもいい感じですね。

「アンタ」という代名詞のチョイスや語尾が「ね」であることを考えると「幼稚な言い訳」と少し具体性を上げてもいいかもしれません。 

 次に【詳細】にしていきます。

 「幼稚な」は感情の振り幅を広げることで表現が出来るので、「極端に委縮する芝居」か「極端に興奮する芝居」という感じになります。

「言い訳する」は「言葉を押し付ける芝居」や「言葉を投げ捨てる芝居」というパターンが考えられます。

一つ選ぶなら、「極端に興奮しながら言葉を押し付ける芝居」という感じでしょうか

 以上が三つ目の例です。

今回はセリフ自体に個性が表れていたので、「抽象化」した先である【本質】に具体性を持たせることができ、【本質】の時点でパターンが出来る形となりました。

もし【本質】が「嘘をつく」という解釈になっていたのであれば、【詳細】にする時に「感情の幅を狭める」という可能性が出てきます。

 

【本質】にも解釈が増えると「演技に正解はない」といわれる理由がなんとなくわかりそうですよね。

 

まとめ

演技には「抽象化と具体化」を使ったサイクルが存在する可能性がある。 

 

台本の読解法は一つではないと思います。

この方法はかなり「論理的」な方法なので、肌に合わないと思ったのであれば、別の方法を試してみるのも全然ありがと思います。

 

ただ、「メモの魔力」を読んで得られる「抽象化と具体化」の技術は、色んなものに応用できるとのことなので、覚えておいても損はないかもしれませんね。

 

ではまた。

 

RinDa

距離感成長の5つの段階

どうも、RinDaです。

 

普段はTwitterにて、声優志望者の方に向けて演技上達に役立つ情報を発信したり、企画「RinDaの台本」を投稿し、60人以上の音源に対して演技のアドバイスをしたりしています。

 

今回は「RinDaの台本1102」で使用した「演技コメントシート」の「距離感」の項目について深掘りしていこうと思います。

 

名付けて「距離感成長の5つの段階」です。

 

「RinDaの台本1102」と「演技コメントシート」については以下の記事をご参照ください。

#RinDaの台本1102 総括 - RinDa声優ネット養成所

演技を評価する5つの基準 - RinDa声優ネット養成所

 

Twitterにて、同タイトルのツイートを致しましたので、この記事ではその解説をしていくことになります。

この記事は

「距離感ってどういうことかわからない」

「距離感は何を基準に決まるのか」

「演技に心がこもらない」

という方にオススメです。

ツイート文にある通り、距離感には「物理的距離」「心理的距離」が存在し、状況次第では、様々な表現と解釈ができるものなので、この記事でバッチリ捉えようとはしないで下さい。

 

「そういう考えもあるのか」と認識を増やすつもりで読むのがちょうどいいと思います。 

 

 

 

目次

 

 

①相手の位置がわかる

距離感ということで「近い」や「遠い」を気にしがちな方が多い印象です。

 ですが、それよりも先に「物理的に前後左右のどこの向きにいるのか」を気にしましょう。

それが難しいという方は「前後」からでも大丈夫です。

 

まずは「顔を後ろに向けて声をかける」と「(タクシー運転手のように)顔を正面に向けたまま後ろに声をかける」の違いを分かるようにしましょう。

 

それが出来たら「右に意識のある声」と「左に意識のある声」です。
左右でも意外と音が違うものです。

 

日頃よく観察するようにしましょう。

 

②相手の大きさがわかる

①を「向き」とするならば、ここでは「角度」の話になります。

 

まずは「高さ」について。

対象が、自分よりも高さが大きければ、声をかける角度が上がります。
逆に小さければ、声をかける角度は下がります。
また、小さくても飛んでいれば角度は上がる可能性はあります。

 

次に、「面積」についても考えましょう。

対象の面積が大きければ、声をかける角度が広がります。
逆に小さければ、声をかける角度が狭くなります。

この「高さ」と「面積」の二点の考えから、

「土地」に対して話すときは、角度を「下」に「広く」とります。
「ビルの屋上にいる人」に関しては、角度を「上」に「狭く」とります。

では「空」に対してはどうでしょうか? 

そうやって、物理的な大きさから距離感を掴んでいきましょう。

 

③相手の立場がわかる

この辺りから心理的な要素が入ってくるので、話がぼやけてきますが、頑張ってください。

 立場の上下は②の「大きさ」を心理的に応用しただけになります。

例えば「上司と部下」で自分が部下なのであれば、お芝居的には「ゴマをするような態勢で前かがみになって話す」ことになります。

これをすることによって、どんな音になるかというと「しゃべる前に自分が少し下に動いて、上向きに角度をつけた話し方」になるわけです。

日本語的に言う「へりくだる」というものです。

これをすると音の軌道が、「下から上に浮き上がる」感じになります。 

逆に、上司なのであれば、「上から下に沈める」感じになります。

 

また 「高さ」を使えば「上下関係」、「面積」を使うと「尊敬の度合い(器の大きさ)」を表現することが可能です。

 

④相手との関係性がわかる

次は「近い」「遠い」の心理的応用の話になります。

物理的に遠い場合、声は強く大きく鋭くなり、
物理的に近い場合、声は弱く小さく柔らかくなる。

ここまでは理解できると思います。

 

では、これを心理に応用した時に「関係性」を表すものになります。

つまり、親しい人間には、弱く小さく柔らかい声を使い、
嫌っている人間には、強く大きく鋭い声を使うということです。

 よく「相手を突き放すように言う」という表現があります。

この場合、物理的に距離が近くとも、心理的に距離を取らなければならないので「強い口調で言う」ということになります。

なので、必ずしも物理的な距離だけで声が決まるわけではないことを念頭に置いておきましょう。

⑤相手の顔が見える

簡単に言うと、「相手との感情の駆け引きが意識できているか」ということになります。

相手の言葉に反応して距離を取ったり、自分の意志を尊重して近づいていったり、はたまた反応の仕方が分からず迷ってしまったり

感情の駆け引きで、相手との距離が細かく変化することがあります。

その距離感を明らかにすることで、自分の感情だけでなく、相手の感情を見せることが出来ます。

人の感情は表情に大きく現われ、人間はそれに反応するので、「相手の顔がわかる」という状態を聞き手に与えることになります。

 

まとめ

①相手の位置がわかる
 →まずは「前後左右」から

②相手の大きさがわかる
 →次に「角度」を意識する

③相手の立場がわかる
 →角度を「心理的」に応用する

④相手との関係性がわかる
 →声の大きさで関係性を表現する

⑤相手の顔が見える
 →感情の駆け引きを声で表現する。

いかかでしたでしょうか?

ここで紹介したのは、距離感の考え方の一例であり、入り口みたいなものです。

具体的なシーンで考える場合は、もっと細かい注意点が出てくると思うので、それは自身の感覚で養っていきましょう。

 

重要なのは、「距離感を意識することが感情を意識することになる」ということです。

これが理解できると、その場にいない対象を呼ぶときに、どのような表現をすればいいかがわかってくると思います。

ちょっと難しい所なので、焦らず少しずつ理解していってください。

 

ではまた。

RinDa

 

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読解力成長の5つの段階

どうも、RinDaです。

 

普段はTwitterにて、声優志望者の方に向けて演技上達に役立つ情報を発信したり、企画「RinDaの台本」を投稿し、60人以上の音源に対して演技のアドバイスをしたりしています。

 

今回は「RinDaの台本1102」で使用した「演技コメントシート」の「設定」の項目について深掘りしていこうと思います。

 

名付けて「読解力成長の5つの段階」です。

 

「RinDaの台本1102」と「演技コメントシート」については以下の記事をご参照ください。

#RinDaの台本1102 総括 - RinDa声優ネット養成所

演技を評価する5つの基準 - RinDa声優ネット養成所

 

Twitterにて、同タイトルのツイートを致しましたので、この記事ではその解説をしていくことになります。

この記事は

「読解力を高めたい」

「何を読み解けばいいかわからない」

「演技に繊細さを出せない」

という方にオススメです。

 

読解に正解はありません。

読解は「質より量」です

今回ご紹介するのは、考えを増やすフックのように考えて頂ければと思います。

これをヒントに、読解できる量を増やし、そこから最もらしい答えのようなものを見つけられるようにしていきましょう。

 

 

目次

①容姿を理解している

まずは、設定や台本から読み取れる事実をもとに、キャラクターの容姿について理解を含めましょう。

キャラクターデザインがあるのであれば、とても分かりやすくなりますね。

ここでハマりやすいのは、「絶対的基準」と「相対的基準」です。

 

例えば「身長170cmの女の子」って「背が高い」って十分に言えますよね?

しかし、その場にはその女の子以外にはモンスターしかいなくて、全員が全長200cmを越えているとしたら、彼女は「背が高い」と言えるでしょうか?

 

そういった基準をどこに置くかによって、容姿のとらえ方は変わってきます。

 

校内屈指の天才バスケット選手も、全国大会では凡人の可能性はあるし、

スーツが似合うカッコイイ男性も、雪山にスーツでいれば変わり者に映る可能性もあります。

 

容姿の表現はあくまで誰かの主観なので、そこをどう正確にとらえられるかも重要になってきます。

②行動を理解している

次に、「お話の中でどんな行動を取る人間なのか?」について考えられているかです。

 

一番単純な表現だと「ヒーロー側」か「悪役側」かでしょうか。

もしくは、話を前に進める「善」の役割があるのか、話を横道にそらす「邪」の役割があるのかでしょうか。

 

大きく見れば「そのキャラクターの役割」とも

小さく見れば「そのキャラクターが起こすイベント」とも

「そのキャラクターの発言の内容」とも言えるでしょう。

 

その事実的な内容を台本や設定から読み取っていきましょう。

③感情を理解している

ここから「解釈」の要素が入ってきます。

感情は、「セリフや話の展開」と「役割を含めた人柄」を照らし合わせて推測します。

もちろん例外的に、キャラクターがセリフとして明言していることもありますし、読んでいれば直感的にわかる場合もあります。

ですが、それが事実とは限りません。

ウソや勘違いの可能性もあります。

なので一度、頭で考えておくことをオススメします。

根拠があれば、問題ないと思います。

 

そして、感情は一つとは限りません

複数あるのは当たり前ですし、数限りなくあります。

なので、「色んなとらえ方が出来ること」「大なり小なり変化する可能性があること」を念頭に置いて考えましょう。

④性格を理解している

性格とは、「生まれながらの気質が生む個人の行動の傾向」のことと心理学では定義されています。

この性格に社会的な性質が加わったものを「人格」といいます。

 

なので正確には「人格」を理解した方がいいのですが、なじみの良い「性格」という言葉をここでは使います。

 

性格は「行動の積み重ね」「そこに働いている感情」によって読み取ることが出来ます。

つまり、「②行動や③感情の解釈が変われば性格も変わる」ということになります。

 

そのためにも、「こういう性格の人はこういう行動をとる」というテンプレの把握と、「こういう行動傾向の人はこういう性格である可能性がある」というデータの把握をかかさないようにしましょう。

⑤人生を理解している

そのキャラクターが その人生において「大切にしてきた信念」や「振り返った感想・後悔」について、台本から読み取るということ。

とてもわかりやすく例えると「このキャラクターの自伝の目次を考えるなら?」という質問の答えを考えるという感じになります。

また、「葬式で読まれる弔辞を考える」でもいいと思います。

よく、仲のいい人物を思い出しながら「アイツなら絶対こう言うな」っていう会話が出たりしませんか?

それが出来るのは、「相手がどんな人生を生きたいのか」を理解しているからともいえるでしょう。

これを理解するには、よく話を聞いたり意見を交わしたり行動を共にすることで、心を通わせなければなりません。

 

キャラクターと親友や恋人になれるくらい心を通わせられるか?というのがここでは重要になってきます。

慣れれば、すぐに打ち解けられることも不可能ではないと思うので、頑張ってみましょう。

 

まとめ

①容姿を理解している
 →より正確にを意識する

②行動を理解している
 →役割を考える

③感情を理解している
 →あらゆる可能性を想定する

④性格を理解している
 →テンプレとデータの把握

⑤人生を理解している
 →心を通わせられているかどうか

ここまでご覧になってお気づきの方もいるとは思いますが、「読解力」とは「人を見る目」のことでおおよそ違いありません。

違うのは、対象に実体があるかないかです。

「人を見る目」を養っていけば、自然と読解力が上がっていきます。

 

それは、物語に対しても同じです。

俗にいう「空気を読む力」が上がれば、物語の読解も出来るようになります。 

 

人を見る目を磨いて、キャラクターへの理解度を上げていきましょう。

 

ではまた。

RinDa

 

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表現力成長の5つの段階

どうも、RinDaです。

 

普段はTwitterにて、声優志望者の方に向けて演技上達に役立つ情報を発信したり、企画「RinDaの台本」を投稿し、60人以上の音源に対して演技のアドバイスをしたりしています。

 

今回は「RinDaの台本1102」で使用した「演技コメントシート」の「感情表現」の項目について深掘りしていこうと思います。

 

名付けて「表現力成長の5つの段階」です。

 

「RinDaの台本1102」と「演技コメントシート」については以下の記事をご参照ください。

#RinDaの台本1102 総括 - RinDa声優ネット養成所

演技を評価する5つの基準 - RinDa声優ネット養成所

 

Twitterにて、同タイトルのツイートを致しましたので、この記事ではその解説をしていくことになります。

 

この記事は

「表現力を高めたい」

「いい演技が何かわからない」

「演技の聴き方が分からない」

という方にオススメです。

 

表現力は実に奥が深いものです。

今回ご紹介するのは、私なりに成長段階を抽象化、つまり、わかりやすく表現したものです。

ここでは、考えを深めるのではなく、段階を大まかに理解することを目的としていますので、気を付けて下さい。

 

 

目次

 

①状態を示している

 

 そのセリフ、そのお芝居は「誰が何をしているか?」

それを聞き手に伝えられる表現が第一段階。

「泣いている」
「怒っている」
「笑っている」
「興奮している」

などとても抽象的にしかとらえられない状態ですが、ここが伝えられなければ話にならないということでもあります。

出来ていない人は「感情開放が出来ていない方」だと思います。

 

感情開放のコツは「素直さ」です。

 

まずは、台本を読んで何かを感じること。

そして、感じたことを素直にセリフにしてみる。

 

そういったことから始めていきましょう。

 

②変化を示している

これは「#RinDaの台本1102 総括 」でもお話ししたことですが、台本には必ず複数の感情が存在します。

単一の感情だけで生きていられるほど、人間の心は安定していません。

それを台本から読み取り、表現できるのが第二段階になります。

 

感情が二つだけでも読み取れれば、
「気分が上がるのか下がるのか」だけでもわかりますよね。

 

変化があるのがわかれば、

「それは急激になのか緩やかなのか」も表現できます。

 

まずは、感情の現在地と目的地を読み取ることから始めましょう。

それから、「どうやって目的地へ向かうのか」を決めましょう。

 

③状況を説明している

いい演技というのは、その「声」と「息」と「間」で状況を説明してくれているものです。

セリフを活かして状況を伝えられるのが第三段階。

セリフを投稿してくれる方に「どういう設定で演じられましたか?」と伺うことがあります。

 

そう聞くと、ツイート二つ三つにまたがった設定を教えて下さる方が何人かいます。

 

そういう方には「その設定はセリフにどれだけ活きていますか?」を聞くようにしています。

 

確かに、自分の中で役の解釈を深めるために、自分なりの設定を考えることは一つの有効な手法です。

 

でも、それはセリフに活きていなければ、対外的には意味がありません。

 

そして、セリフに設定を活かすことが出来ていれば、セリフを聞くだけで「どこに誰がいて何が起こったのか」というようなことがわかります。

 

これをするには「論理的な目線」が必要なので、冷静になって考えてみましょう。

 

④映像が見せられる

朗読CDを聴いていると、「目の前に情景が浮かんでくる」という経験をされたことはありませんか?

 

その場にいる空気感や、登場人物からの見え方を表現できるのが第四段階です。

 

第一第二と「自分の主観で思ったこと」を表現し、第三段階では「対外的に考えたこと」を表現するよう書いてきました。

今回はそれをより「丁寧に」した感じです。

 そのために必要なのが、「感覚に訴えること」です。

その声、音を聞いて「身の毛もよだつ」とか「温かさに包まれる」というような、「自分がその場にいてその言葉を受けている」という感覚を聞き手や共演相手に与えられるような状態を目指していきましょう。

 

⑤共振を錯覚させる

第四段階では「自分がその場にいてその言葉を受けている」と言いましたが、ここでは演技を聞かせて「自分が喋っている」と聞き手に感じさせる演技を指しています。

 

感情という、目に見えず明確な音や色を持たないものを、直接相手に伝えるというのが最終段階。

 

皆さんも「テレパシー」という単語を聞いたことがあると思います。

 

もちろん、「脳に直接声が響く」なんてことが起こるわけはありませんが、「火のない所に煙は立たない」とも申します。

「自分の言葉を通して感情を相手に直接伝えることが出来る」という人は役者をしていなくても稀にいます。

歴史的に言えば「巫女」や「神官」、「教祖」と言われる方々がそうであったのだろうと思います。

そんなスキルを目の当たりにした人が、「これは超能力だ!」と錯覚して「テレパシー」という単語が生まれたのだと私は考えています。

ですが、このスキルを持った人間を、演技の現場で見つけるのは非常に困難です。

なぜなら、その演技はあまりにも自然であるために、感想が湧かないから。

ただ1つ現象として起こるのは、「その人以外の役者の演技が普段よりも、わざとらしく下手に感じる」ということだけです。

なので、有名な方が出演されている作品を見て「なんか違和感がある」と感じたのであれば、そこに一人、このスキルを持った人が居るかもしれませんね。 

 

まとめ

 

①状態を示している
 →感情開放が出来ている

②変化が生じている
 →感情を複数見つける

③状況を説明している
 →設定を活かしたセリフ回し

④映像が見せられる
 →感覚に訴える演技

⑤共振を錯覚させる 
 →感情を直接伝える

いかがでしたでしょうか?

よくディレクションで「抑揚をつけて」と言われたりすると思いますが、ただ抑揚をつけるだけでは②の領域を脱せられないことがわかりますか?

 

感情表現とは非常に奥深いもので、狙ってできるのは正直③までが限度です。

あとは、たまたまハマり役を引くか、熱量の高い現場に当たるか、その先を求め続けるかすることによって④、⑤の領域に到達できるものだと思います。

 

それに、感情というのは「受け手に感じるつもりがなければ伝わらない」というのが大前提なので、結果も分かりにくいと思います。

結果を検証する際は、相手の聴くスキルも考慮した方がいいかもしれません。

ここを追求することが、役者の仕事であり、義務であり、極みであり、悦びであり、苦悩であるところです。

 

向き合わずに成長することは不可能です。

仙人になったつもりで、感情表現に向き合い続けましょう。

 

ではまた。

RinDa

 

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滑舌成長の5つの段階

どうも、RinDaです。

 

普段はTwitterにて、声優志望者の方に向けて演技上達に役立つ情報を発信したり、企画「RinDaの台本」を投稿し、60人以上の音源に対して演技のアドバイスをしたりしています。

 

今回は「RinDaの台本1102」で使用した「演技コメントシート」の「滑舌」の項目について深掘りしていこうと思います。

 

名付けて「滑舌成長の5つの段階」です。

 

「RinDaの台本1102」と「演技コメントシート」については以下の記事をご参照ください。

#RinDaの台本1102 総括 - RinDa声優ネット養成所

演技を評価する5つの基準 - RinDa声優ネット養成所

 

今朝Twitterにて、同タイトルのツイートを致しましたので、この記事ではその解説をしていくことになります。

 

この記事でわかることは

・自分の滑舌のレベル

・滑舌に関する課題

・今、自分が考えるべきこと です。

 

「自分が見えていない」

「課題が見えない」

「何をしたらいいかわからない」

という悩みはモチベーションに大きく関わってきます。

 

自分の現状と照らし合わせて、読み進めていきましょう。

 

目次

 

①滑舌の悪さを自覚する

上手くなるための道はただ1つ。

自分の下手さを自覚することだけです。

 

どんな声優も役者も「滑舌をナメてかかった経験」というものはあります。

「普通にやればいいだけ」なのですが、

その「普通」がどれだけ難しいか。

そのナメた態度を自覚しない限りは、滑舌の成長はありません。

 

悲観する必要はありませんが「自分は滑舌が悪い」「決して良くはない」という感覚をいつも心に持っておきましょう。

 

②苦手な音を知る

「どの音が苦手か?」というのは体の特徴によってマチマチです。

舌が長い人、短い人。

歯並びのいい人、悪い人。

噛み合わせがいい人、悪い人。

筋肉量の多い、少ない…etc

 みんなそれぞれ違う音を持っています。

 

そんな一人一人が同じ音を同じように出せるわけがありません。

 

中には苦手が多い人や、少ない人が居るかもしれませんが悲観する必要はありません。

研究と努力で同じ土俵に立てるので安心してください。

むしろ、苦手が少ない人は研究が疎かになりがちなので、苦手が多い人の方が「結果的に器用」なんてこともあります。

 

苦手な音は、一音そのものが苦手な場合と、音の連なりが苦手な場合がありますので、「発声練習でちゃんとできるから」と油断しないようにしましょう。

 

③全てをキレイに発音する

ハッキリ言います。

「全てをキレイに発音する」なんてことは不可能です。

 

しかし、我々は役者です。

 

「全てをキレイに発音する」必要なんてありません。

 

「全てをキレイに発音する」ように見せかけるだけでいいのです。

 

要するに「誤魔化す」ことが重要になってきます。

これはプロの声優さんもやっている立派な技術です。

無闇に努力せず、聞き手が「言えている」と誤解するような言い方ややり方を考えてみましょう。

 

④ニュアンスに崩されない

役者の仕事は「全てをキレイに発音する」ではありません。

「台本上に記された役を的確に表現し、作品を再現すること」です。

 

そのためセリフには「ニュアンス」が存在します。

 

「ニュアンス」とは、感情や身振り手振り、はたまた性格や育ちなど、色んな要素が含まれた「音の歪み」です。

 

憑依して演じてみた方はわかると思いますが、生まれた自然な感情をそのまま音にすると、音は決してキレイにはなりません。

必ず何かしらの「歪み」を含んでいます。

 

「その歪み表現しながら、いかに滑舌を保つか」

 

それが役者に課せられた命題の1つだと思います。

 

⑤ニュアンスを滑舌に含める

ここは音声作品に特化した声優だからこそ気になる領域です。

 

④の段階では、滑舌という「秩序」に、ニュアンスという「混沌」をぶつけて、いかに均衡を保つかという状態でした。

ですが、これは実に「不安定な状態」です。

 

声優と俳優の大きな違いの1つが「作品にかける時間の差」です。

 

俳優が何か月もかけて役を作り、収録をするのに対し

声優は、一週間足らずでそれを行います。

 

そのため、「安定感」というものが声優には大事とされます。

 

より良い声優を目指すのであれば、「滑舌をニュアンスに含む」とともに「ニュアンスを滑舌に含む」という感覚を持ち、「不安定すらも自在に再現できる状態」が望ましいと思います。

 

まとめ

 ①滑舌の悪さを自覚する。
 →ナメた態度では改善されない。

②苦手な音を知る。
 →自分を研究して見つけ出す。

③全てをキレイに発音する
 →そう思われるように誤魔化す。

④ニュアンスに崩されない
 →「歪み」に滑舌で対抗する。

⑤ニュアンスを滑舌に含める。
 →不安定すらも自在に操る。

 

 滑舌の成長に必勝法はありません。

 

なぜなら、誰一人として同じ人間などいないからです。

 

一人一人違う滑舌を持っています。

 

それを真に理解出来れば「ニュアンスを滑舌に含める」ことが、滑舌における最終目標であることに納得いただけると思います。

 

滑舌は必勝法がないがために、毎日コツコツやるしか方法が基本的にはありません。

 

道のりは長いですが、プロの声優になるのであれば、一生向き合わなければならないことです。

 

早いうちから慣れておくつもりで頑張りましょう。

 

ではまた。

 

RinDa

 

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バイアスを破る「役作り」の5つのモデル

どうも、RinDaです。

 

普段はTwitterにて、声優志望者に向けて演技向上に関する有益な情報を発信したり、

 

同じくTwitterにて、「#RinDaの台本」という企画を月一で開催し、60人以上の声優志望者の方の演技にアドバイスを行ったりしています。

 

今回は「役作り」について、バイアスを破る5つのモデルプランをご紹介していきます。

 

この記事では

「役作りって具体的に何をすればいいんだろう?」

「役作りが甘いとよく言われてしまう」

「ディレクションにうまく対応できない」

といった悩みを解決していきます。

 

これから紹介するモデルプランを試して、自分に合うものを見つけたり、役作りを深めたりする足がかりにしてみて下さい。

 

目次

 

人間の思考に宿るバイアス

「バイアス」とは、人生で築き上げてきた思考のクセのことです。

「慣れ」と表現することもできますが、今回は「思考に関する悪い習慣」というような理解でいいと思います。

 

この「バイアス」という概念は非常に難しい概念で、バイアスを破る具体的な方法は「ほぼ存在しない」と言っていいでしょう。

 

なぜなら「バイアスを破るためには~をしたらOK!」のような考えが存在しても、その考え自体がいずれ「バイアス化」してしまうからです。

 

そんな複雑な「バイアス」という概念に対する攻略法は「色んな人の考えを取り入れること」や、「複数の視点を持って考えること」です。

 

今回は一人でも実行できる後者の方法を使って、役作りのバイアスを破っていくため、私が考えた「役作りの5つのモデル」をご紹介していきます。

 

①単語から読み解く

人が会話で使う単語を考えることを「言葉選び」といいますね。

 

「言葉選び」には、その人間の性格や経験、知識、総じて「過去の記憶」が表れます。

「なぜその言葉選びになったのか?」

「他の言葉ではだめだった理由は?」

「その言葉をどこで覚えたのか?」 

「何がきっかけでその言葉が出てきたのか?」

もちろん、正解はありません。

 

これは全部のモデルに言えることですが、大切なのは「質」ではなく「数」です。

 

1つでも多くの質問を投げかけ、より数を増やし、厳選していきましょう。

 

②行動から読み解く

セリフ一行を読み解くと、「(いつどこで)誰が誰に何をした」というような「行動」に言い換えられるはずです。

例えば
「タカシがシンジに呼びかけた」

「ジュンはコウイチに冷たい視線を送った」

「サヨコはミライに気持ちを打ち明けた」

「ノゾミはユリを嘲笑した」

というような感じです。

これが定まると、セリフに込めなければならないニュアンスが決まります。

 

「おい!」というセリフ一つでも、解釈は果てしない数あります。

 

その中でも、状況や設定から正当性のあるものをなるべく多くチョイスするようにしましょう。

 

③目的と結果から読み解く

今回はそのワンシーンや作品を通して、キャラクターには「目的」が存在します。

それが、色んなものに阻まれたり、正しい判断ができなくて想定外の結果を招いたりして、物語が出来上がるわけです。

 

なので、キャラクターがその場にいる「目的」や、その場にいることによる「結果」を理解しておくことは、役者として必要なことだと言えます。

 

もしかしたら、あまり多くのパターンが浮かばないかもしれませんが、なんとか3つ4つひねり出せると、それが演技に深みを出すキッカケになるかもしれません。

 

もしくは、「設定や状況の解釈を勝手に変えてみてどうなるか?」と考えてみるのも、キャラクターの本質を見抜く助けになるかもしれません。

 

④感覚から読み解く

俗にいう「憑依(ひょうい)」してみるということです。

自分がそのキャラクターになったつもりで、見る聴く触る嗅ぐ味わうなど、感覚を想像してみましょう。

 

特に「見る」と「聴く(聞く)」に力を入れましょう。

 

人間の受信する情報の約七割は「視覚」からと言われています。

なので「キャラクターが何にどのような目線を送っているか」を想像するだけでも、かなりセリフの印象が変わってくると思います。

 

また、演技には基本的に「相手」が存在しており、相手のセリフが「自分の感情のキッカケ」になることがあります。

相手のセリフを想像して、どんな言葉を掛けられているのかを予想してみるのも、演技の幅を広げてくれると思います。

 

⑤他人の演技を想像する

これは非常に「からめ手」になるのですが、身近なレッスン仲間や講師の先生が自分の演技を聞いてなんて言ってくるだろうか?

また、それらの人がこのセリフを演じたらどうなるか?

そういったところから自分一人では考えつかない発想を得られることがあります。

 

また、分析と研究が十分に済んでいることが前提になりますが、

現役のプロの声優さんを何人か挙げて、その方ならどのように考え、どのように演じるのかを想像してみることも効果的だと思います。

 

いかにもその役を演じそうな方でもいいですが、絶対にその役を演じなさそうな方や、別の性別の方の演技を想像するのもいいアイデアが得られそうです。

 

まとめ

①言葉選びの動機から考える

②セリフを行動に解釈して考える

③キャラに課せられた役割から考える

④キャラクターに憑依して考える

⑤他人の演技を想像して考える

既にいくつか実践されている方もいると思いますが、そんな方も是非全部のパターンを試してみることをおススメします。

 

役作りを意識したことを無かった方は、これを機にいくつか試してみて、役作りの感覚を身に付けていって下さい。 

 

そして、最後にバイアスを破るために一番大事なことをお伝えします。

 

ここまで全てのことを実践すると、プランの数か結構な量出来上がってしまい、どれが役に適しているのか分からなくなっているかもしれません。

 

そんな時は「真ん中を取る」か「直感に頼る」に限ります。

 

「直感に頼るなんて、それこそバイアスなのでは?」

と思われるかもしれませんが、それは直感だけで考えた場合です。

 

最終的に判断を下すのは「自分」であるべきだと私は思います。

 

自分で判断すれば、

「どこで判断をミスってしまったのか」

「何が足りなかったのか」を痛感することが出来ます。

 

そうすることで、よりバイアスを破る精度が上がっていきます。

 

それを繰り返し、より柔軟なプランを考えて、本番を迎えましょう。

 

ではまた

 

RinDa

 

参考文献

無理なく限界を突破するための心理学 突破力

【超思考法】天才を超える凡人になるための思考トレーニング【前編】

【超思考法】天才を超える凡人になるための思考トレーニング【後編】