バイアスを破る「役作り」の5つのモデル
どうも、RinDaです。
普段はTwitterにて、声優志望者に向けて演技向上に関する有益な情報を発信したり、
同じくTwitterにて、「#RinDaの台本」という企画を月一で開催し、60人以上の声優志望者の方の演技にアドバイスを行ったりしています。
今回は「役作り」について、バイアスを破る5つのモデルプランをご紹介していきます。
この記事では
「役作りって具体的に何をすればいいんだろう?」
「役作りが甘いとよく言われてしまう」
「ディレクションにうまく対応できない」
といった悩みを解決していきます。
これから紹介するモデルプランを試して、自分に合うものを見つけたり、役作りを深めたりする足がかりにしてみて下さい。
目次
人間の思考に宿るバイアス
「バイアス」とは、人生で築き上げてきた思考のクセのことです。
「慣れ」と表現することもできますが、今回は「思考に関する悪い習慣」というような理解でいいと思います。
この「バイアス」という概念は非常に難しい概念で、バイアスを破る具体的な方法は「ほぼ存在しない」と言っていいでしょう。
なぜなら「バイアスを破るためには~をしたらOK!」のような考えが存在しても、その考え自体がいずれ「バイアス化」してしまうからです。
そんな複雑な「バイアス」という概念に対する攻略法は「色んな人の考えを取り入れること」や、「複数の視点を持って考えること」です。
今回は一人でも実行できる後者の方法を使って、役作りのバイアスを破っていくため、私が考えた「役作りの5つのモデル」をご紹介していきます。
①単語から読み解く
人が会話で使う単語を考えることを「言葉選び」といいますね。
「言葉選び」には、その人間の性格や経験、知識、総じて「過去の記憶」が表れます。
「なぜその言葉選びになったのか?」
「他の言葉ではだめだった理由は?」
「その言葉をどこで覚えたのか?」
「何がきっかけでその言葉が出てきたのか?」
もちろん、正解はありません。
これは全部のモデルに言えることですが、大切なのは「質」ではなく「数」です。
1つでも多くの質問を投げかけ、より数を増やし、厳選していきましょう。
②行動から読み解く
セリフ一行を読み解くと、「(いつどこで)誰が誰に何をした」というような「行動」に言い換えられるはずです。
例えば
「タカシがシンジに呼びかけた」「ジュンはコウイチに冷たい視線を送った」
「サヨコはミライに気持ちを打ち明けた」
「ノゾミはユリを嘲笑した」
というような感じです。
これが定まると、セリフに込めなければならないニュアンスが決まります。
「おい!」というセリフ一つでも、解釈は果てしない数あります。
その中でも、状況や設定から正当性のあるものをなるべく多くチョイスするようにしましょう。
③目的と結果から読み解く
今回はそのワンシーンや作品を通して、キャラクターには「目的」が存在します。
それが、色んなものに阻まれたり、正しい判断ができなくて想定外の結果を招いたりして、物語が出来上がるわけです。
なので、キャラクターがその場にいる「目的」や、その場にいることによる「結果」を理解しておくことは、役者として必要なことだと言えます。
もしかしたら、あまり多くのパターンが浮かばないかもしれませんが、なんとか3つ4つひねり出せると、それが演技に深みを出すキッカケになるかもしれません。
もしくは、「設定や状況の解釈を勝手に変えてみてどうなるか?」と考えてみるのも、キャラクターの本質を見抜く助けになるかもしれません。
④感覚から読み解く
俗にいう「憑依(ひょうい)」してみるということです。
自分がそのキャラクターになったつもりで、見る聴く触る嗅ぐ味わうなど、感覚を想像してみましょう。
特に「見る」と「聴く(聞く)」に力を入れましょう。
人間の受信する情報の約七割は「視覚」からと言われています。
なので「キャラクターが何にどのような目線を送っているか」を想像するだけでも、かなりセリフの印象が変わってくると思います。
また、演技には基本的に「相手」が存在しており、相手のセリフが「自分の感情のキッカケ」になることがあります。
相手のセリフを想像して、どんな言葉を掛けられているのかを予想してみるのも、演技の幅を広げてくれると思います。
⑤他人の演技を想像する
これは非常に「からめ手」になるのですが、身近なレッスン仲間や講師の先生が自分の演技を聞いてなんて言ってくるだろうか?
また、それらの人がこのセリフを演じたらどうなるか?
そういったところから自分一人では考えつかない発想を得られることがあります。
また、分析と研究が十分に済んでいることが前提になりますが、
現役のプロの声優さんを何人か挙げて、その方ならどのように考え、どのように演じるのかを想像してみることも効果的だと思います。
いかにもその役を演じそうな方でもいいですが、絶対にその役を演じなさそうな方や、別の性別の方の演技を想像するのもいいアイデアが得られそうです。
まとめ
①言葉選びの動機から考える
②セリフを行動に解釈して考える
③キャラに課せられた役割から考える
④キャラクターに憑依して考える
⑤他人の演技を想像して考える
既にいくつか実践されている方もいると思いますが、そんな方も是非全部のパターンを試してみることをおススメします。
役作りを意識したことを無かった方は、これを機にいくつか試してみて、役作りの感覚を身に付けていって下さい。
そして、最後にバイアスを破るために一番大事なことをお伝えします。
ここまで全てのことを実践すると、プランの数か結構な量出来上がってしまい、どれが役に適しているのか分からなくなっているかもしれません。
そんな時は「真ん中を取る」か「直感に頼る」に限ります。
「直感に頼るなんて、それこそバイアスなのでは?」
と思われるかもしれませんが、それは直感だけで考えた場合です。
最終的に判断を下すのは「自分」であるべきだと私は思います。
自分で判断すれば、
「どこで判断をミスってしまったのか」
「何が足りなかったのか」を痛感することが出来ます。
そうすることで、よりバイアスを破る精度が上がっていきます。
それを繰り返し、より柔軟なプランを考えて、本番を迎えましょう。
ではまた
RinDa
参考文献
【超思考法】天才を超える凡人になるための思考トレーニング【前編】
【超思考法】天才を超える凡人になるための思考トレーニング【後編】