表現力成長の5つの段階
どうも、RinDaです。
普段はTwitterにて、声優志望者の方に向けて演技上達に役立つ情報を発信したり、企画「RinDaの台本」を投稿し、60人以上の音源に対して演技のアドバイスをしたりしています。
今回は「RinDaの台本1102」で使用した「演技コメントシート」の「感情表現」の項目について深掘りしていこうと思います。
名付けて「表現力成長の5つの段階」です。
「RinDaの台本1102」と「演技コメントシート」については以下の記事をご参照ください。
Twitterにて、同タイトルのツイートを致しましたので、この記事ではその解説をしていくことになります。
✅表現力成長の5つの段階
— RinDa@声優ネット研究所 (@RinDa_0884) 2020年12月3日
①状態を示している
②変化が生じている
③状況を説明している
④映像が見せられる
⑤共振を錯覚させる
聞き手にキャラクターを客観視させるのが第1段階(感情解放)。
最終的には、聞き手自身がキャラクターになっているかのように思わせられるかどうか😇
この記事は
「表現力を高めたい」
「いい演技が何かわからない」
「演技の聴き方が分からない」
という方にオススメです。
表現力は実に奥が深いものです。
今回ご紹介するのは、私なりに成長段階を抽象化、つまり、わかりやすく表現したものです。
ここでは、考えを深めるのではなく、段階を大まかに理解することを目的としていますので、気を付けて下さい。
目次
①状態を示している
そのセリフ、そのお芝居は「誰が何をしているか?」
それを聞き手に伝えられる表現が第一段階。
「泣いている」
「怒っている」
「笑っている」
「興奮している」などとても抽象的にしかとらえられない状態ですが、ここが伝えられなければ話にならないということでもあります。
出来ていない人は「感情開放が出来ていない方」だと思います。
感情開放のコツは「素直さ」です。
まずは、台本を読んで何かを感じること。
そして、感じたことを素直にセリフにしてみる。
そういったことから始めていきましょう。
②変化を示している
これは「#RinDaの台本1102 総括 」でもお話ししたことですが、台本には必ず複数の感情が存在します。
単一の感情だけで生きていられるほど、人間の心は安定していません。
それを台本から読み取り、表現できるのが第二段階になります。
感情が二つだけでも読み取れれば、
「気分が上がるのか下がるのか」だけでもわかりますよね。
変化があるのがわかれば、
「それは急激になのか緩やかなのか」も表現できます。
まずは、感情の現在地と目的地を読み取ることから始めましょう。
それから、「どうやって目的地へ向かうのか」を決めましょう。
③状況を説明している
いい演技というのは、その「声」と「息」と「間」で状況を説明してくれているものです。
セリフを活かして状況を伝えられるのが第三段階。
セリフを投稿してくれる方に「どういう設定で演じられましたか?」と伺うことがあります。
そう聞くと、ツイート二つ三つにまたがった設定を教えて下さる方が何人かいます。
そういう方には「その設定はセリフにどれだけ活きていますか?」を聞くようにしています。
確かに、自分の中で役の解釈を深めるために、自分なりの設定を考えることは一つの有効な手法です。
でも、それはセリフに活きていなければ、対外的には意味がありません。
そして、セリフに設定を活かすことが出来ていれば、セリフを聞くだけで「どこに誰がいて何が起こったのか」というようなことがわかります。
これをするには「論理的な目線」が必要なので、冷静になって考えてみましょう。
④映像が見せられる
朗読CDを聴いていると、「目の前に情景が浮かんでくる」という経験をされたことはありませんか?
その場にいる空気感や、登場人物からの見え方を表現できるのが第四段階です。
第一第二と「自分の主観で思ったこと」を表現し、第三段階では「対外的に考えたこと」を表現するよう書いてきました。
今回はそれをより「丁寧に」した感じです。
そのために必要なのが、「感覚に訴えること」です。
その声、音を聞いて「身の毛もよだつ」とか「温かさに包まれる」というような、「自分がその場にいてその言葉を受けている」という感覚を聞き手や共演相手に与えられるような状態を目指していきましょう。
⑤共振を錯覚させる
第四段階では「自分がその場にいてその言葉を受けている」と言いましたが、ここでは演技を聞かせて「自分が喋っている」と聞き手に感じさせる演技を指しています。
感情という、目に見えず明確な音や色を持たないものを、直接相手に伝えるというのが最終段階。
皆さんも「テレパシー」という単語を聞いたことがあると思います。
もちろん、「脳に直接声が響く」なんてことが起こるわけはありませんが、「火のない所に煙は立たない」とも申します。
「自分の言葉を通して感情を相手に直接伝えることが出来る」という人は役者をしていなくても稀にいます。
歴史的に言えば「巫女」や「神官」、「教祖」と言われる方々がそうであったのだろうと思います。
そんなスキルを目の当たりにした人が、「これは超能力だ!」と錯覚して「テレパシー」という単語が生まれたのだと私は考えています。
ですが、このスキルを持った人間を、演技の現場で見つけるのは非常に困難です。
なぜなら、その演技はあまりにも自然であるために、感想が湧かないから。
ただ1つ現象として起こるのは、「その人以外の役者の演技が普段よりも、わざとらしく下手に感じる」ということだけです。
なので、有名な方が出演されている作品を見て「なんか違和感がある」と感じたのであれば、そこに一人、このスキルを持った人が居るかもしれませんね。
まとめ
①状態を示している
→感情開放が出来ている②変化が生じている
→感情を複数見つける③状況を説明している
→設定を活かしたセリフ回し④映像が見せられる
→感覚に訴える演技⑤共振を錯覚させる
→感情を直接伝える
いかがでしたでしょうか?
よくディレクションで「抑揚をつけて」と言われたりすると思いますが、ただ抑揚をつけるだけでは②の領域を脱せられないことがわかりますか?
感情表現とは非常に奥深いもので、狙ってできるのは正直③までが限度です。
あとは、たまたまハマり役を引くか、熱量の高い現場に当たるか、その先を求め続けるかすることによって④、⑤の領域に到達できるものだと思います。
それに、感情というのは「受け手に感じるつもりがなければ伝わらない」というのが大前提なので、結果も分かりにくいと思います。
結果を検証する際は、相手の聴くスキルも考慮した方がいいかもしれません。
ここを追求することが、役者の仕事であり、義務であり、極みであり、悦びであり、苦悩であるところです。
向き合わずに成長することは不可能です。
仙人になったつもりで、感情表現に向き合い続けましょう。
ではまた。
RinDa
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