演技に正解がないわけがない
どうも、Rindaです。
前回に引き続きテーマは「読解力」です。
「演技に正解はない」という言葉をよく耳にすることがあります。
これは「台本解釈は人それぞれであり、その解釈を否定することは必ずしも正しいとは限らない」ということです。
まあ、感じ方は人それぞれなので、筋は通る話なのですが、少し誤解をはらんでもいます。
今回はこの「演技に正解はない」の誤解について話していきましょう
立場の違い
「演技に正解はない」というのは、本を書く側の人間の考えだと思います。
台本解釈は人によって違う
だから、より精密に無駄なく本を書かなくてはならないのです。
そうして、作家さんの努力と計算によって台本というものは出来上がります。
その台本には果たして正解は存在しないのでしょうか?
もちろん、その作品を楽しむだけなのであれば話は別です。
自分が楽しめるように解釈をすればいいと思います。
ですが、声優はそれをお金を貰って表現することが仕事です。
作者の解釈を追求しない声優に価値はありません。
もちろん、追求した結果、作者の解釈を完璧に表現できるとは限りません。
ですが、「意図をくむ」と「無視をする」のでは雲泥の差があります。
もし、プロの声優として生きていくのであれば作者の意図を考えずに演技は出来ないのです。
プロの正解
では、その正解とは一体どんなものなのか
これは大きく3つに分けることができます。
①期待された正解
②ただの正解
③正解を超えた正解
の以上3つです。
これらの正解を出すことが出来れば、声優として生きていくことができるはず
(人気になるかは分かりませんが)
では、その3つの正解について解説していきます。
①期待された正解
これはその役を任された声優に対する正解です。
制作側は声優をキャスティングする際にある程度狙いがあってその声優を配役します。
なので、その狙いを遂行することが出来れば、その声優は仕事をしたことになります。
作者の意図を完全に再現しなくても成立する正解。
これが期待された正解です。
言わば、プロの最低条件です。
②ただの正解
台本の内容を余すことなく読み取り、作者の意図も踏まえられた正解です。
この正解が出せる声優は制作側が信頼を得ることができ、指名で役を貰うことができます。
プロの声優の中でも成功者になるためにはこの正解を量産しなければなりません。
ですが、この正解を引き当てようとするのは少し危険な考えなので気をつけて下さい。
③正解超えた正解
制作側の指示からははずれてはいるが、制作側の意図をより正しい形で表現した正解。
これは狙ってできるものではありません。
なぜなら、前提として制作側の指示の漏れが存在しているからです。
例えば、「お節介なキャラ」がいたとしましょう。
皆さんはどんなキャラを想像しますか?
私が考えるのは次の二通りです。
ひとつは、親切を自分の役割のように果たし続け、結果的にお節介なタイプ。
もうひとつは、コミュニケーションに自信がなく、他人に優しくしたいけど、方法がよく分からなくて度が過ぎてしまうタイプ
前者は比較的ハキハキとしたキャラになり、
後者はオドオドしたキャラになると思います。
では、お節介なキャラが台本に登場したとして、
セリフの上では後者。
設定上では前者だった場合。
どう演じますか?
これが制作側のズレです。
もちろん、全てがミスとは限りません。
制作側は作品全体のクオリティを監修しているので、キャラクターひとりひとりの詳細な設定までタスクを割けない場合があります。
前者のまま演じると、「合ってるんだけどなんか違う」と言われ、
後者で演じると、「設定上と違う」と言われる可能性があります。
もしかしたら、後者を演じた場合に、制作側がミスに気づいてくれるかもしれない。
はたまた、前者で押し切ってくるかもしれない。
正解というのは基本的に制作側に委ねられているのでここから先はどうなるかは分かりません。
もしそれを演技で納得させられることが出来たのなら
その演技は正解を超えたと言っても過言ではないでしょう。
求めるべき正解
声優が求めるべき正解は「①を踏まえた上での③」だと思います。
③ばかり意識してしまうと、①すら守れない可能性が出てきてしまうので、①を踏まえた上での③を意識していきましょう。
また、②を求めるのが危険な理由は台本の質に演技の質が左右されてしまうからです。
①踏まえた上での③を求めた結果で②を量産する
というのが望ましい形なのかもしれません。
読解の心構え
③とは具体的にどんな作業をしているかというと
想像力による台本と設定の精査並びに穴埋めをしていることになります。
そのシーンを実際に想像してみてキャラクターを動かしたときに「違和感がないか」をチェックする。
それは制作側のズレを発見することにもつながるし、単純に正確な役作りである。
②にもつながります。
想像力を高めて台本に向き合いましょう。
RinDa