#RinDaの台本1102 総括
どうも、RinDaです。
普段はTwitterで、声優志望者の方に向けて、演技上達に役立つ情報を毎日発信しています。
この記事は、私がTwitterにて企画した「#RinDaの台本1102」の総括を行っていきます。
【#RinDaの台本】
— RinDa@声優ネット研究所 (@RinDa_0884) 2020年11月2日
私からのアドバイスを希望して頂ける方は「#RinDaの台本1102」のタグをつけて投稿してください。
注意事項をお読みの上、ご投稿頂けると幸いです。
今回のテーマは「シリアス」です。
皆さんのご参加をお待ちしております。 pic.twitter.com/y3o4sccufo
今回は、同じくTwitterにて活動しているぶるまんさん(@blue_mondayblog)が作成された#演技コメントシートというものを使ってコメントを返させていただきました。
詳しくは「演技を評価する5つの基準 」をご覧ください。
この「RinDaの台本」という企画は、今年の3月に初投稿したフリー台本で、それを演じた声優志望者さんの音源に対し、僭越ながら私がコメントをさせて頂いている企画です。
今回の台本は、現時点で60人以上の方に音源を投稿して頂きました。
この記事では、
・参加者の傾向に対する感想
・台本読解の手引き
を行っていこうと思います。
目次
参加者の傾向
読解が浅くて雑
今回は「シリアス」をテーマにしていたせいなのか、「こともあろうに」や「辛い」のようなセリフ内のインパクトの強い言葉に解釈を引っ張られたのか、感情が単調になっている傾向がみられました。
1セリフの台本でない限り、物語が動き感情も動いているので、感情は2つ以上探して用意しておくといいでしょう。
感情が1種類でプランを構築してしまうと、一方的に喋っている感じがどうしても強くなり、演技に深みが無くなります。
何より変化が見られないと、「意味のある間」も「相手との距離感」も感じさせられなくなってしまうと思います。
「今」しかないは「何もない」
台本に準じた前後の話を想像している方も少なかった印象です。
前の話がないと、言葉に実感が生まれません。
後の話がないと、役に存在意義が生まれません
そして、過去も未来も、基本的には台本に書いてあると思います。
というか、書いてあることから見つけなければなりません。
台本に書いてあることは、他のキャラのセリフだろうと、何でも使ってください。
「過去の無い今はないし、未来がなければ今から先に進まない」と覚えておきましょう。
台本読解の手引き
【男性台本】責任を果たす大人の男
比較的に解釈の自由度の高い、懐の広いキャラクターセリフだったと思っています。
そのため、「26歳」「医療機関の研究員」という設定さえ守られていれば、問題ないと思います。
話し相手が女性台本の彼女であることが、女性台本の内容から察せられるとなお良いかと思います。
個人的に気を付けてほしいのは「悪役」と「名探偵」になってしまっている人です。
セリフの性質上、真実を突き付けるキャラクターになるのはわかるのですが、「なんとお前をそんな体にした黒幕は、ウチの研究所の上司でした!」と嬉々として、カッコつけて言うのは避けてほしいと思いました。
ちゃんと、衝撃の真実を知る相手に配慮したり、震えながら真実を告げたりするのは、責任感が感じられていいなと思いました。
後者も「若さ」が感じられていいなと思いますが、
できれば、自社の職員が被験者に無断で実験をしてしまっているので、前者のように加害者側である責任をしっかり受け止め説明を果たす人物が望ましいし、かっこいいですよね。
そういう音源を聴くと、男のカッコ良さっていうのは「声」や「姿」ではなく「生き様」だと感じさせてくれます。
【女性台本】少しでも長く生きる理由
「失われる感覚、すぐそこに這いよる死を感じて苦悩を訴える少女」というプランの方が目立った今回の台本。
ですが、もっとよく「単語」を見ましょう。
注目すべきは1行目と2行目です。
☆1行目
「延命治療」ということは「生きるか死ぬか」ではありません。
「今死ぬか、後で死ぬか」です。
では「延命治療を受ける」とはどういうことか?
「治療が辛かろうと少しでも長く生き続けたい」
ということですよね。
つまり、辛いのも死ぬのも彼女は「織り込み済み」なんです。
だから、「延命治療を受けるのは『正直』辛い」って彼女は言ってるんですね。
☆2行目
「最近は味覚だけじゃなくて触覚もだいぶ鈍ってきてて」って文章なんですが、かなり冷静な分析をしている気がしませんか?
「味覚も触覚もない!」とかではなく、治療による容体悪化の段階を知っているようなセリフを選んだつもりだったのですが、あまり伝わってなかったようなので、自分の筆の未熟さを悔いています。
「延命治療を受ける」と決断している訳なのですから、当然のように「インフォームドコンセント」を受けていると考えて頂けると高をくくっていました。
私の記憶が正しければ、「インフォームドコンセント」という単語は、中学の保健体育や、高校の現代社会・倫理の授業で習うものだと思います。
そういう知識が読解を助けてくれることも多いので、よく見ておきましょう。
他にも、3行目や6行目の冗談めかしているセリフが2つあるのも、彼女にそれなりの余裕や覚悟のある証拠と言えるでしょう。
彼女には「延命治療を受けた理由」があります。
もちろん、それは読み手がある程度自由に決めて良いことです。
ただ、理由もなく辛い治療を受けるとは考えにくいです。
他に考えられるのは、他人の意志で生かされている場合ですが、口調が丁寧語で距離がある人物が相手である可能性が高いことと、先述の余裕のあるセリフが違和感になります。
その理由が無くなることは彼女にとって「感覚が無くなっていくことより辛いもの」であるということが読み取れると、全く違ったセリフに見えてくると思います。
私の文章が稚拙であったとはいえ、そんな覚悟のある女の子を「他人の目も気にせずに泣き叫ぶ心の弱い女の子」と誤解していたと思うと、ちょっとゾッとしませんか?
それが「役者の業」なんだと私は思います。
台本に向き合って「こんな酷い世界、狂ってる」と思ったなら、自分の読解を一度疑ってみましょう。
そんな酷い世界から彼女を救えるのは、彼女を演じるアナタだけです。
彼女が本当は生きたいの願うなら
アナタだけは、絶対にあきらめてはならないのです。
まとめ
- 感情は複数用意し変化を見せる
- 過去と未来がない今はない
- 男のカッコ良さは「生き様」
- 誤解の許されない役者の業
今回も多くのご参加ありがとうございました。
初めての方も、常連の方も、今後とも「#RinDaの台本」というプラットフォームの活性化に一役買って頂ければと思います。
また、台本のテーマリクエストを募集しようと思います。
リスエストのある方は是非ブログのコメント欄までお願いします。
他にも
・記事に関するご感想・ご質問
・記事にしてほしい事柄のリクエスト
・#演技コメントシート に関するご意見・ご感想
も募集しておりますので、ドシドシコメントして下さい。
特に#演技コメントシート は形式や活用法にまだまだ改良の余地があると思います。皆さんの忌憚のない意見をお待ちしております。
では、また次の#RinDaの台本で。
RinDa