役の感覚と同期しよう
どうも、RinDaです。
今回は「文字を読まないためのキーワード 」の一つ「感覚」です。
以前、「記憶」「思想」と他の二つを取り扱ってきました。
実はこの三つは役の「過去」「現在」「未来」に対応しています。
「記憶」が役が積み重ねてきた「過去」
「思想」が役が幸せのために求める「未来」
つまり、今回取り扱う「感覚」は「現在」に対応しています。
過去を失った役、未来を失った役は存在するかもしれませんが、
「現在だけを失った役」というのは実に存在しがたい。
この「感覚」をセリフに表現できるかで
「文字を読んでいる」を「役を演じている」に変えることができると思います。
ただ、「知識やテクニック」というよりは、それこそ「感覚的」な話になるので、何度も訓練して、身に付けてください。
目次
感覚は五感を使うこと
「五感」とは何かご存知でしょう。
人体が持っている五つの感覚器官の総称です。
五つの感覚器官というのは「視覚・聴覚・触覚・味覚・嗅覚」の五つを指します。
時折、超常的感覚や直感的感覚のことを「第六感(シックスセンス)」と呼ぶことがありますが、今回は無視して話を進めていきます。
私たちはこの「五感」を通して外界とつながっています。
当然、役自身にも人間(もしくは人格が備わっている存在)なのであるなら「五感」があるはずです。
ですが、役者の目には台本の文字、耳には共演者が発するセリフ、肌に触れる空気は緊張感のある収録ブースの空気。
そんな状態で、役の自然な姿を演じることができるのでしょうか?
役者として仕事をするために役が意識しないことにも意識しなければならないことはありますが、それは「役の五感」をまるっきり無視していいという訳ではありません。
情報の8割は視覚から
五感の中でも大切なのが「視覚」です。
人間が外界から取り込む情報量が一番多いのが視覚情報なのです。
逆に「目を閉じる」と、他の感覚が研ぎ澄まされます。
耳をふさいで視力が良くなることはありませんよね?
視覚はそれほど多くの情報を取り扱っています。
演技初心者の方が「文字を読んでしまう」理由の大元はここにあります。
台本を見ているから「文字」を読んでしまうのです。
実はこの「文字を読んでしまう」という問題はセリフを覚えてしまうだけで、いくらか解消できてしまう問題でもあります。
ですが、なぜ声優が台本を持ちながら演技をしているのか?
それは、膨大な量の台本の収録を比較的短期間で終わらせるためです。
その台本を覚えないと演技ができないのでは、意味がありません。
なので、台本を見ながらでもこの問題を解決しなければなりません。
感じるまでは口にしない
たとえ、文字を見ていなくても、目の前のマイクやブースの壁を見ているだけでは結果は変わりません。
そこで必要なのが「想像力」です。
もっと限定した言い方にすると、想像を信じる力である「自己催眠」です。
目の前に役が見ている景色が広がっていて、そこに飛び交っている音も、流れている空気も匂いも、鮮明に感じられるようにするのが「自己催眠」です。
役者は自分のセリフの順番が来たから喋るのではありません。
共演者や設定が動かした物語を感じながらセリフを口にするのです。
極論をいえば、その物語の変化を実際に感じるまではセリフを口にしなくてもいい。
もちろん、仕事となれば、自分のセリフの順番で口を開く状況になるように想像する必要もある時はあります。
ですが、基本的で理想的なのは「感じるまでは口にしない」ことが重要なのです。
演技が個人技でなくなる
この「感覚」を身に付けると、「演技が個人技でない」ことを実感できます。
なぜなら、音声作品で物語を動かす要因のほとんどが「共演者の演技」だからです。
音声作品だからと言って「共演者の演技」が聴覚情報だとは限らない。
その演技がちゃんとしているのであれば、そこには「表情の変化」「動き」など視覚情報も含まれているし、その声が揺らしている空気は肌で感じることができるはずだからだ。
自分が共演者の演技で動かされているように、共演者もまた「こちらの演技」に動かされています。
無責任に台本の文字だけを追って、空っぽの演技をしている場合ではありません。
自分のセリフを確認したら台本から目を離し、相手のセリフをよく聞いて、物語が動いたのを感じたら、それを合図に、その感覚に素直にセリフを口にしましょう。
もしセリフが長文で台本を見る必要があるのであれば、台本を透かしてその奥に、その景色・その視界を浮かべるくらいの気合を見せましょう。
共演者に動かされた以上、それを動かし返さなければなりません。
そのために「感覚」を使うことを覚えて、物語に干渉され、干渉していきましょう。
まとめ
- 「五感」を使って演じる
- 「視覚」は情報量が多い
- 文字ではなく想像を見る
- 自己催眠で実際に感じる
- 感じてからセリフを口に出す
- 共演者のために演じる
- 物語と相互干渉になる
想像力は鍛えてこそ、そのキャパシティは増えていきます。
まずは「視覚」を鍛えるのが簡単だと思います。
そのためにもまずは「指でさせるもの」に「記憶」を想像して目の前に景色を作りましょう。
また「聴覚」で聞いたセリフにどう反応するかは役の目的に左右されます。
その役がなぜそこにいるのか?
多くの場合は、幸せになるため・不幸にならないためです。その「思想」がわかれば、物語に沿った上でよりリアルな反応を返すことができるはずです。
「嗅覚・味覚」という感覚は、かなり用途が限定されるので鍛えるのは後でもいいと思います。
ますは「視覚」から。そして「聴覚」「触覚」の順で鍛えていくといいと思います。
「感覚」を鍛えて、「文字を読まない演技」へ。
そして、さらなる高みへのぼって行きましょう
ではまた。
RinDa
関連記事はコチラから