演技の技術で歌を考える
どうも、RinDaです。
今回は「歌(ボーカル)を演技の技術で考える」という記事を書いていこうと思います。
ここ十年くらいで「歌える声優は価値が高い」というものから「声優は歌えて当たり前」という考え方が業界に浸透してきました。
声優志望者の中にも、アーティスト活動がしたくて声優を志望している方も多いと思います。
でも、「歌は上手くできるのに、演技が上手くできない」という方や「演技は何とかなるけど、歌がイマイチできない」という方がいらっしゃると思います。
今回はそんな方々に向けた「演技の技術で歌を考える」方法をご紹介しようと思います。
もちろん、歌も演技も自信ない方にも活用できる方法だと思うので、是非この記事を読んで苦手を克服して頂けたらと思います。
目次
歌と演技の共通点
歌と演技に共通して言えることは「言葉を扱っていること」です。
まあ、当たり前のことなんですが、国内音楽と国内演劇・アニメは日本語を使って表現がされています。
言葉であることが共通点なら、歌と演技で同じか似たような技術があるかもしれませんよね。
それが、実際にあります。
感情表現
まずは「感情表現」ですね。
歌では「しゃくり」や「こぶし」、「フォール」、そして「ビブラート」などの技術が感情表現に使われています。
演技では、技術があり過ぎて具体的な紹介になりませんが、いわゆる「ニュアンスをつける」という言い方をします。
歌では既にBGMで全体的な雰囲気作りがされているので、技術が前に出てきづらいですが、どちらも等しく感情表現と言っていいと思います。
音程とテンポ
意外に思われるかもですが、音程とテンポは演技にも存在しています。
演技ではキャラに合わせて声を作ります。要素はいくつかありますが、大体がキャラの外見で使う声を判断している場合が多いです。
これは「曲のイメージに合わせて音程を変える」ということとやっていることはほぼ同じです。
なんなら、曲の盛り上がりで音程が上がり下がりするのも、キャラの感情によって音が変化するのも同じと言えると思います。
またテンポも演技には存在しています。
そもそも人間という生物が、呼吸や血流、ホルモンなどの周期的なものによって変化する時点で、人間はテンポやリズムを持った生物だと言えます。
それを演じる上で、テンポやリズムは無視できないものです。
また、歌も演技もテンポをよくすることで、聞き手に高揚感や疾走感なんかを与えられる点もにていますよね。
歌を演技のように考える
声を決める
では、まず、曲全体のイメージを考えましょう。
ロック、ポップ、バラードのようにジャンルから連想してもいいですし、元気ソング、ラブソング、人生の応援歌など歌詞の内容から連想してもいいですね。
そのイメージに一番適したあなたの音程で挑むといいと思います。
LiSAさんの「紅蓮華」を例に出すならば
ジャンルはアニソンですが、曲調はハードロックに分類されます。
(ヘドバンが楽しい感じのだと考えるといいかも)となると「聴衆を先導して盛り上げられるような力強さが求められる」と言えるでしょう。
また、歌詞の内容は、「少年の成長」を描いたような歌詞で、ジャンプ漫画にピッタリな感じですよね。
とはいっても、けっこうナイーブな歌詞なので、陰のあるような声やウィスパーボイスが使えると映えるような歌だと感じます。
この分析だけでも、めちゃくちゃ難しい曲だなって感じがしますよね。
無理な音を出さなくても、テーマが定まっているだけで、音をある程度自然に変えられるようになると思います。
カラオケで歌うよりも、家で何気なく口ずさんだアカペラが上手く感じるのは、気分から歌が自然に出ているからだと思います。
最初から音程に合わせた声で歌うと、とても機械的な歌になってしまうので、気持ちから作って、そのあと自然にメロディに歌が乗るように調整していきましょう。
もし、アレンジを加えてもいいのであれば、音程を無視して自分なりの表現をしてもいいかもしれません。
大事なのは気持ちを変えて、呼吸を変えること。
その曲を歌う呼吸になっていれば、雰囲気くらいは合わせられるようになると思います。
ニュアンスをつける
ここで大事になってくるのは「文節分け」ですね。
文節分けをすることで、文章の意味を理解し、よりイメージを深くすることができます。
詳しくは過去の記事をご覧ください。
文節分けをしてイメージを付けたところで、全てを歌詞に盛り込めるとは限りません。
あくまでメロディラインを守った上で出来る範囲のニュアンスをつけていきましょう。
引き続き「紅蓮華」のBメロで例えると
「強く/なれる/理由を/知った//ボクを/連れて/進め」
内容は「自分に伸びしろを感じた」というもので、それを「理由に引き連れられる」と表現し、「理由があるから強くなれるんだ」という解釈を持たせているんだと思います。
「理由」を擬人化させているワケですが、理由とは本来、人間の内側にあるものなので、赤の部分は「内側に言葉をかけるように」というニュアンスがセオリーだと思います。
「知った」に関しては、メロディ優先でニュアンスを付けなければならないのでスルーします。
緑の部分に関しては、「理由が内側に向いた意識を、外に連れ出す」というニュアンスというか状態を指しているので、徐々に内から外へ表現するといいと思います。
いわゆる「クレッシェンド」って感じにだんだん大きくなります。
サビ前の部分なので音楽的にもこの表現しかないとも言えますね。
と言って感じですね。
もちろん、皆さん自身が感じた解釈で問題ないと思いますが、音楽的なセオリーみたいなものが介入してくるので、基本的には「原曲のアレンジ」って感じにプラン立てた方が無難だと思います。
あと、音楽に合わせるために歌詞を変えている場合がほとんどで、文章の構造としては不完全なこともあるので考慮しましょう。
テンポとリズム
ここで出てくるのが、以前記事で説明させて頂いた「音節」です。
音節は、基本的には 「母音を含む読みの文字の2~3文字の集まり」と定義していますが、歌の場合は「1文字で1音節にする」という場合が頻繁に出てきます。
先ほどの「紅蓮華」Bメロの「知った」の部分は、「し・(い)っ・た」というように1文字で1音節にする場合です。
この音節で歌詞を分けることで、言葉にリズムを作り出すことができ、テンポを伝えることが可能になります。
これがわかれば、カラオケがリズムゲームっぽくなります。
(それだとニュアンスが無くなるので、おススメはしません)
また、歌い方の方針次第では、音節をリズムとして拾わずに、つなげて歌ってメロディっぽくする場合もありますので、気を付けて下さい。
例えば、「紅蓮華」のサビなら
「どう・したっ・て//消せ・ない・夢も//変わら・ない・今も//誰・かの・ために・強・く・な・れ・る・なら//あり・がとう//悲・しみよ」
紫の部分は「韻(いん)」を踏んでリズムをより良くしているので協調できるといいなって思います。
水色の部分は先程の、つなげてメロディにもできる部分の例になります。ロックは音が細かいのでめちゃくちゃに拾えてノリ感を出せるのですが、バラードとかはつなげてキレイに表現することが多い印象です。
また、音節がわかると声の切り替えがしやすい印象です。
歌によっては地声と裏声を使い分けなければならない曲もあるので、「この音節は裏声、それ以外は地声に戻す」という感じで認識できると、変なところで声が裏返らずに済みます。
なにより喉を傷めないので、音節で分けて考えるのはすごくおススメです。
まとめ
- 歌と演技には共通点がある
→言葉であること- 技術も同じものがつかえるかも
→感情表現
→音程とテンポ- 歌は演技のように考えてもいい
いっそのこと、まずは詩を読むことから始めて、そのあとBGMに合わせてやってみるという方法を取ってもいいかもしれません。
この共通点がつながっていることが理解出来れば、歌が上手くなると演技が上手くなるし、演技が上手くなると歌が上手くなるという、いいスパイラルに入れるので、歌の練習をする際には意識をしてみて下さい。
また、演技も歌うように考えると、新たな発見があるかもしれませんね。
ではまた
RinDa
8/22【期間限定】
アカペラですが、歌ってみました。
700人記念!!
— RinDa@声優ネット養成所 (@RinDa_0884) 2020年8月22日
……ではないけれど!
BGMなしで歌ってみました!
【紅蓮華/LiSA】#クセがすごい #キーが低いかも#果たしてこれは上手いのか#スタッカート効きすぎかも#拡散とかはしなくていいよ#照れ隠しでなんかいっぱい付けちゃう pic.twitter.com/Wk3J8xq96h