体を使って演じる考え方

どうも、RinDaです。

 

今回は「体を使って演じる考え方」というテーマで発声についてお話していきたいと思います。

 

今後、この記事と以前書いた「台本を分解してみよう」の記事の内容を掛け合わせるようにして「ボーカル」について解説していくつもりなので、歌のレクチャーを受けたい方はちゃんと両方とも読んで頂けると嬉しいです。

 

rinda0884.info

 

レッスンなどでよく上がるアドバイスに「体を使って演じて」というものがあります。

 

私がこれをお伝えする時は「声が首から上にしか響いていない」と感じた時です。

この状態で演技をすると、感情の幅が思ったほど出せなくなるので演技が小さくなってしまいます。

それにのどに大きく負担がかかるので、のどを痛めて使えなくなってしまうこともあるでしょう。

今回はこれを解消する考え方をお伝えできればと思っています。

 

体の使い方が上達するればするほど、感情も豊かになるし、声を変えて演じることが楽になるので、是非この記事を読んで体の使い方に関する考え方を深めていっていただければと思います。

 

目次

 

発声に重要な三つの部位

声を出すに重要な体の部位と言われて、皆さんはどこを思い浮かべますか?

声に大きく関係してくる部位は三つだと私は考えています。

それが「声帯」「胸部」「横隔膜」です。

声帯

声帯はのどにある筋肉の膜です。

ここに適切な力を入れて息を通すことで膜が震え、声が出ます。

力の入れ方や入れる場所を変えることによって声の高さや太さを調整することができます。

特筆すべきは、筋肉であるにもかかわらず、致命的なダメージを受けても再生しないということ。

筋肉は損傷と再生を繰り返して強くなりますが、声帯はその例外で、傷つけても再生して強くなることはありません。

なので、声帯を極力使うことなく、演技をしていくことが理想です。

胸部

正確には肺とその周りにある筋肉のこと

肺は人体唯一の呼吸器官です。

息を吸うと肺は膨らみ、息を吐くと肺はしぼみます。

また、膨らむ力はそんなに強いものではなく、筋肉が強張っていると吸引できる空気の量が少なくなります。

なので基本的には上半身をリラックスさせることが大切です。

肺は膨らませる方向をある程度コントロールすることができます。

上向きに膨らませると呼吸は浅くなり、下向きに膨らませると呼吸が深くなります。

上向きの呼吸を「肩式呼吸」、前後方向の呼吸を「胸式呼吸」、下向きの呼吸を「腹式呼吸」といい、演技に一番重要とされているのは腹式呼吸とされています。

 

なぜ腹式呼吸なのかというと、理由は二つ。

まずは肺活量を高めることができるからです。

息の量が増えるだけで表現の幅が広がりますし、長ゼリフにも対応できるようになります。

もう一つは空間共鳴です。

肺を下に広げ、空間を広くするほど音は低くなります。

逆に肺を上に広げ、空間を狭くするぼど音は高くなります。

広い狭い以外にも音に関係する要素はありますが、その音が響いている空間の形状によって音の印象が変わっていくことは事実です。

これを使って人間は感情による音の変化を作り出しています。

 

横隔膜

肋骨の下、腹筋の上についている大きな筋膜のことを「横隔膜」と言います。

随意筋、つまり意識的に動かすことのできる筋肉で、痙攣すること(いわゆるシャックリ)もあります。

横隔膜は腹式呼吸をする際に、肺の膨張の邪魔になるので、意識的に下方向に伸ばしておく必要があります。

もっと言うと、その間、横隔膜が上に上がってしまうと、肺の空気が一気に抜けてしまうので、喋っている間は横隔膜の位置をキープする必要があります。

 

また、横隔膜より上の筋肉に力を入れてしまうと肺を圧迫してしまうので、基本的にその筋肉は使えません。

よって、横隔膜がセリフの中で力みを表現できる一番効率のいい筋肉ということになります。

なので、力強い生き生きとしたする際には、どの言葉のタイミングで横隔膜に力を入れるかのコントロールがとても重要になってきます。

 

人体は○○に似ている。

私が考えるに、この三つの部位の特徴は「楽器」に類似しています。

声帯に適当な力を入れ、任意の場所を震わせて音を出す様は「弦楽器」

空間の大きさによって音が変わる様は「管楽器」

単純な力を強弱だけで音を変化させる様は「打楽器」

以上のことから、人体は楽器の集合体だと私は感じています。

これなら、人間の声が繊細で多彩なものであることも納得できるはずです。

楽器一つだけを扱うことだけでも大変なのに、それを三つ同時に行っているのですから。

ちょっと飛躍した話になっているかもしれませんが、ヒューマンビートボックスという妙技が存在している以上、この話の信ぴょう性はかなり高いと思っています。

これがわかったのであれば、「発声を鍛える」という漠然とした発想から、「この三つを個別に鍛える」という具体的なものにシフトできます。

声帯は「動物の鳴き真似」や「感嘆詞(笑い声やうめき声など)の練習」をすることで、その動き方や震わせ方を理解できるようになると思います。

肺は力みの度合いを変えながらロングトーンをしてみることで音の変化を実感できると思います。

横隔膜は外郎売をはじめとする早口言葉などを練習する時に意識してみると違いが判ると思います。

そして最後は台本を使って、この三つの要素をかけ合わせて使う練習をするという方法を取ることもできます。

 

中には、「体って楽器と似ているんだ」と認識してなんとなくできる感覚タイプな方もいるので、そういう人はその感覚を突き詰めて、いつでも出せるようにしていきましょう。

 

まとめ

  • 発声で大事な人体の部位は3つ
    ・声帯
    ・肺
    ・横隔膜
  • これらは楽器に似ている
  • 人体は3つの楽器の集合体
  • 個別に育てて融合させる 

 

「人体は楽器に似ているからなんだ」と思われる方もいるかもですが、大事なのはそれが事実がどうかというより、そういうイメージの持ち方や練習のアプローチの方法があるということです。

 

人体は楽器だけではなく色んなものに似ていると思うこともできます。

それはひとえに人間の想像力のたまものです。

それを妄言と思うか、可能性と思うかは皆さんの自由です。

ですが、我々声優が仕事にしている商材は、「その想像力をふんだんに使った世界そのもの」です。

そう言った妄言を信じてみるということを試してみても損はないと思います。

 

声優として使えるものはなんでも使っていきましょう。

 

RinDa