見せ場とリソースを考える

どうも、RinDaです。

日々、Twitterを中心に演技上達に役立つ情報を発信しています。

 

今回は「見せ場とリソース」について解説していこうと思います。

 

この記事では

  • 見せ場の作り方の基本
  • 見せ場との向き合い方

について解説していきます。

 

目次

 

はじめに

レッスンの場や稽古の場で演技をした際に

「シンプルでつまらない」

「波がなくて盛り上がらない」

「読んでるだけ」 

 といったコメントをもらったことはありませんか?

 

これらの原因は総じて「見せ場を考えていない」ということにつながります。

私はよく「表現課題がない」と言ったりします。

「その演技の結果を考えずとも、台本に書いてあることをこなしていけば、結果は後からついてくるでしょ?」

 という考え方の人や講師の方もいるかもしれませんが、みんながみんなそうとは限りません。

むしろ、目標もなしに行動を起こし、全うできる人間の方が珍しいだと僕は思っています。

なので、私としては表現課題を立てることはマストであると考えています。

 

では、どうやって表現課題を見つけ、見せ場を作り上げるのでしょうか?

 

表現課題の見つけ方

表現課題というのは「役を演じる上での必要条件」のことです。

その条件さえ満たしていれば、「その役を表現している」と言ってもいい。

そんな条件が、どんなキャラクターにもあるはずです。

心理学的な用語を使えば「アイデンティティ」というものに近いですが、もう少し広い視野が必要です。

我々の世界に「主人公」というアイデンティティはありませんし、作品の世界では「一般人」や「地球人」であることもアイデンティティになる可能性もあります。

なので、区別化のために「表現課題」と呼ぶようにしています。

 

では、どうやって表現課題を見つけるのか?

 

これに関しては一般的な答えはありません。

言うなれば、「役者自身が重要だと感じたところ」です。

「好きだと思うところ」と言ってもいいでしょう。

 

つまり、「表現課題を見つける」ということは、「他者理解」と何ら変わりません。

もっとフランクな表現をすると「役と友達になること」が表現課題を見つけることにつながります。

 

演技を通して役を視聴者の方に紹介できるように、役の魅力的な部分を見つけて、「表現課題」として常に頭に入れて置くようにしましょう。

 

見せ場の作り方

表現課題が見つかったのであれば、おそらく見せ場が見えてくるはずです。

アナタが見つけた役の魅力が一番輝くシーン・セリフ・言葉。

それが「見せ場」になります。

 

その上で知っておかなければならないのが「見せ場の正当性」です。

自分勝手に「ここが見せ場だ!」と決めて演じるのはそう難しいことではありませんが、それではそれを見ている人を納得させられるか?というと微妙です。

商品として演技をする以上、その演技を見た人が納得できるような理由に気づかなければなりません。

そして、演技を役者が解説することはできませんから、その理由は演技に乗せなければなりません。

 

そのためにどうすればいいか。

 

まず「なぜ、そこが見せ場なのか?」という質問に答えられるような正当性を説明できる状態で演技に臨むのが好ましいでしょう。

自分の知らないことは表現できませんので。

「見せ場の正当性」が自分の中で確立されたら、あとは「リソース」について考えるだけです。

 

リソースを考える

「リソース」というのは「資源」という意味です。

ここでは「人的リソース」、つまり「労力」という意味で用いていきます。

 

台本を分解して考えて「シーン」は「セリフ」に、「セリフ」は「文節」に分解できます。詳しくは過去の記事をご覧ください。

rinda0884.info

 

仮に、1つの台本が4つシーンに、1つのシーンは4つのセリフに、4つのセリフは4つの文節に分解されているとしましょう。

つまるところ、この台本は文節が「4x4x4」の「64」あることになります。

そして、役者のリソースは数値100だと仮定して、説明していきます。

 

見せ場を作るのが下手な人の場合、リソース100を等分してしまうのです。

シーンなら25、セリフなら約6.2、文節なら約1.5、ということです。

 

見せ場の作るのが上手い人は、見せ場にリソースを多く振ります

シーンを①~④にナンバリングした時、例えば「①=20、②=10、③=50、④=20」というリソースの振り方になります。

シーン③に注目した時も、見せ場となるセリフに割くリソースが多くなりますので、「A=10、B=8、C=20、D=12」

また、セリフCに注目すると、見せ場となる文節にリソースを割くので「a=5、b=3、c=8、d=4」

 

いかがでしょうか?

比べるとわかりますが、数値がそのままインパクトとして聞き手に伝わるのであれば、シーン③は等分した時の1つのシーンの2倍のインパクトがあります。

セリフCは等分した時の1つのセリフの約4倍、1つのシーンに匹敵するインパクトがあります。

文節cは等分した時の文節の約8倍、1つのセリフのインパクトを凌駕しています。

 

こうやって見せ場は意図的に作り出せます。

それによって、より聞き手を説得しやすくすることができるんですね。

 

まとめ

  • 見せ場を考えるための表現課題
  • 表現課題は自分で決めて良い
  • 表現課題には正当性が必要
  • 正当性を示すために見せ場をつくる
  • 見せ場はリソースで考える

 

今回はわかりやすく説明するために、「リソース」というものを数学的に仮定したが、これはそんなに単純なものではありません。

さわりだけ言っておくと、「1つの表現課題を達成するためのリソースが100あるのであれば、他の表現課題を達成するための別のリソースが100存在する可能性がある」こともありますし「台本を完成させるリソースを割くのは自分一人ではない」ということもあります。

 

また、リソースの分配の仕方にも理由が必要です。

今回は「日本の文章作成の基本は起承転結」であること、「中でも転が一番盛り上がりやすい」ということ、「盛り上がったら下がる、下がったら上がる」ということの非常にふわっとした3つの事柄しか考慮されていません。

なので、台本が必ずしも4つのシーンに別れるとは限りませんし、絶対3つめが必ず盛り上がるわけでも、奇数個目が上がって偶数個目が下がるわけでもありません。

そういったところは、臨機応変に対応できるようにしていきましょう。

 

ではまた。

 

RinDa