演じるために役に共感しよう

どうも、RinDaです。

 

今回は「共感性の使い方」について記事にしていこうと思います。

 

「共感する」というのは、「他人の感情を理解する」ということ。

感情を察するのとは少し違って、あれもこれもと敏感に察するよりも、「相手の本心を深く理解する」という考えの方が近いと思います。

 

この共感する人間が持つ機能のことを「共感性」と言います。

人間は社会的な生物であり、その高い共感性を使ってコミュニティを作って生活をしてきました。

これが正常に機能していない人間は「動物だ」と言っても過言ではありません。

我々役者は、この共感性を作品の登場人物や作者の方に対して行い、芝居を作り上げています。

言ってしまえば「役者の必須能力」です。

声の良さ、顔の良さ、個性的な演技、多彩な演技などの能力に比べると、一見地味ですが、これを持っている役者は作品を陰から支えることができるようになるので、役者としての寿命が長くなります。

役者の魅力ではなく、作品の魅力で勝負をするための能力だと考えてください。

「共感」なくしては、その後の「共有」まで至ることはありません。

 

目次

 

 三つの共感性

共感性には三つのタイプがあります。

  1. 外見への共感性
  2. 内面への共感性
  3. 本質への共感性

この三つの違いは、共感の深です。

3に近づくにつれ、より深く共感している形になりますが、3にだけ共感できているという状態もあるので、ステップアップしていくものではないことを理解しておいてください。

1.外見への共感性

 その役の姿形、身だしなみ、身のこなしなど、外から見た時にわかる特徴に対しての理解のことを「外見への共感性」と呼んでいます。

声の演技の場合は「声色」「動き」のあたりに反映されます。

例えば、人語を理解し喋る猫がいた時、そのキャラのセリフを人間のように喋るのか、猫独特の何かが存在しているのかでは、後者の方がリアルであると言えるでしょう。

前者はその演技を聴いても「猫」が話しているとわからないので、そのキャラを十分に聞き手に届けられているかと言えば、そうではないと思います。

その演技を聴いて、役の外見を想像できるようにするための共感性が「外見への共感性」です。

2.内面への共感性

その役の気持ちや性格など、精神的な要素に対しての理解のことを「内面への共感性」と呼んでいます。

声の演技の場合は、「話し方」「リアクション」のあたりに反映されます。

 例えば「お化けが怖い」と思ってる役の場合、悲鳴を上げ走り出すタイプかビックリして気絶するタイプか、腰が抜けてそのまま泣き出すタイプか、色々あると思います。

役それぞれの怖いがあるので、自分の知ってる「怖い」だけしか演じられないのだとしたら、キャラが崩れてしまって聞き手はとても残念に思うかもしれません。

 行動したり言葉を発する上で「どのように」の部分に関連してくるのが「内面への共感性」です。

3.本質への共感性

その役を表現する上でもっとも抽象的な部分や、作品内で見た時の役割に対する共感性のことを「本質への共感性」と呼んでいます。

声の演技の場合、役作りの「方向性」「一貫性」を決める部分になってきます。

声優界の名優・永井一郎氏や日本経済の父・渋沢栄一曰く、本質とは「その人間がどんな時に幸せを感じるか」であるという。

ラスボスの役でも、「他人を支配することが幸せ」と感じているキャラと「悲しみに沈み、世界を道連れにすることが唯一の幸せ」と感じているキャラなのか、「人類の恒久的進化のために全人類を一度滅ぼす使命を全うすることが幸せ」と感じているキャラでは、印象がかなり違うと思います。 

 役の人生そのものに対して理解を示す共感性が「本質への共感性」です。

 

三つの共感性を応用する

この三つの共感性は、ただ架空のキャラクターにだけ向けられるものではありません。

役者や作品、原作者、脚本家など制作にかかわる人や、物やルールに対しても共感性を向けることができます。

 

役者の場合は「なぜそう演じたか」 という命題で三つの共感性へつなげることができます。

この人はこのキャラを
「マッチョではなくイケメンで演じてるのか」とか
「臆病じゃなくてナイーブという捉え方か」とか
「結果的にヒーローになっているだけで自覚はないって表現してるか」など

これが出来るようになると、演技の勉強が加速するので、ぜひ完パケの音源を聴いた時に違和感を抱いたら、本役の声優さんがどう考えたのか共感してみましょう。

 

ハサミの場合は、
「1.どんな形状をしてるのか」とか
「2.材質は何を使っているのか?」とか
「3.どんなコンセプトがあるのか」と言った感じでしょうか。

こうしてみると「1と2の理由が3」という関係性も見てて来る気がしますね。

 

キャラに関わらず共感性を働かせることで、考えが凝り固まることも防げるし、他者理解と自己理解が進むので、あらゆる人や物にこの「三つの共感性」のフレームを使って興味を持ってみましょう。

 

まとめ

  • 共感性は三種類
    1.外見への共感性
    2.内面への共感性
    3.本質への共感性
  • 共感性は色んなものへ向けることができる
  • 共感することで理解が深まる。
  • 理解したものは共有できる。

 

私が敬愛しているお笑いコンビ・ラーメンズの小林賢太郎さんは「表現者の根源の欲求は『共有』だ」とおっしゃっていました。

それは私も共感しており、その世界観やキャラクター性を共有したい、何より「この世界はこんなにも面白いんだ!」ということを共有したいから「表現したい」という欲求が生まれるんだと思います。

 

表現の前に「共有」があり、共有の前に「共感」がある。

もしかしたら、「自分自身を共有したい」と思っている方もいるかもしれませんが、そういう方も「自分の話を聴いている他者」に共感しない限りは、自己顕示欲も満たされません。

人間は共感し、協力し生きていく生物です。

共感を忘れては、人間として生きていけません。

どうせなら、上手くできるようになるといいですよね。

 

ではまた。

 

RinDa